フリーランスPMの単価相場|月80万円と100万円超を分ける契約の位置と役割

フリーランスPMの単価相場を決定単価と掲載単価の両方で示し、金額を決める契約の位置、支払う部署の予算、役割の範囲を解説します。精算幅の読み方と提示額への返し方も対話形式で整理します。

この記事でわかること

  • フリーランスPMの決定単価は平均で月約80.8万円、掲載案件の平均は月88万円で、40代以降は年数で上がらない
  • 金額を決めるのは経歴より、発注者から何番目の契約か、どの部署の予算か、引き受ける役割の範囲
  • 同じ月100万円でも精算幅の上限180時間なら時給約5,556円。月額だけで案件を比べると判断を誤る

永瀬

PM・企画職専門の転職エージェント「ネコノテキャリア」の中の人。オブラートに包まない物言いが持ち味で、相場も裏事情も聞かれれば正直に話す。少し口が悪い。

ふたば

SIerでPM歴10年。独立を考えて紹介会社に登録したところ月75万円の案件を提示され、妥当な金額なのか判断できずにいる。

目次
  1. フリーランスPMの単価相場を、二種類の数字で見る
  2. 単価を決めているのは、発注者から何番目の契約か
  3. 誰の予算から払われるかで、上限が変わる
  4. 役割ごとの単価帯と、100万円の線
  5. 月額だけでは比べられない、精算幅と稼働日数
  6. 提示された単価に、どう返すか
  7. 参考データと出典
  8. よくある質問

フリーランスPMの単価を調べると、月80万円という数字も、150万円という数字も出てくる。紹介会社から金額を提示された人にとって知りたいのは、相場の平均よりも、自分に出されたその金額が妥当かどうかだろう。

フリーランスPMの単価は、経験年数やスキルの一覧からは説明がつかない。同じ経歴の人が、入る案件によって月30万円違う金額で契約している。金額を決めているのは、発注者から数えて何番目の契約か、誰の予算から支払われるか、どこまでの役割を引き受けるかの三つである。公開データと当社が扱う案件の実例を並べながら、提示された単価の読み方を整理する。

フリーランスPMの単価相場を、二種類の数字で見る

ふたば(紹介会社から月75万円を提示されたPM歴10年)

SIerでPMを10年やっています。独立を考えて紹介会社に登録したら、月75万円の案件を提示されました。ネットには100万円以上と書いてある記事も多くて、これが妥当なのか判断できません。

永瀬(PM・企画職専門のエージェント)

まず、世の中に出ている数字には二種類あることを押さえてください。案件の募集に書かれた金額と、実際に契約が決まった金額です。

ふたば

違うものなんですか。

永瀬

違います。レバテックフリーランスが公開している数字で比べます。掲載中のPM案件の平均は月88万円、最高は295万円です。一方、実際に決まった契約の平均は月約80.8万円。週5日稼働の場合です。

ふたば

決まった金額のほうが低い。

永瀬

募集の金額は上限で書かれることが多いので、そうなります。フリーランスPMの単価相場として信用できるのは決定単価のほうで、平均は月80万円前後です。ネットの記事が言う100万円以上は、平均より上の層の話です。

ふたば

では75万円は、平均より少し下ということですね。

永瀬

数字の上ではそうです。年代別に見ると、30代が約81.1万円、40代が約87.2万円、50代以上が約87.7万円。40代以降はほとんど伸びていません。

ふたば

経験を積めば上がっていくものだと思っていました。

永瀬

そこが会社員の給与と違うところです。年数では上がらない。上がるのは、契約の位置と役割が変わったときだけです。

単価を決めているのは、発注者から何番目の契約か

ふたば

契約の位置というのは、何のことですか。

永瀬

発注者の会社から数えて、自分が何番目の契約で入っているかです。同じプロジェクトの同じ席でも、ここで金額が変わります。

契約の位置お金の流れ単価に起きること
発注者と直接、または紹介会社1社だけを挟む発注者の予算から、紹介料を引いた額が届く発注者が払う額に近い金額になる。役割の交渉もしやすい
元請けのSIerやコンサル会社の下に入る元請けが発注者から受け取った額から、元請けの取り分を引いた額が届く元請けの外注単価の上限に縛られる
元請けの下の会社を、さらに経由する会社を一つ通るたびに取り分が引かれる発注者が払う額の大きさと関係なく、低い金額で頭打ちになる

ふたば

私に提示された案件は、大手SIerが元請けで、その協力会社の枠だと聞きました。

永瀬

それなら三番目の位置です。75万円はあなたの値段ではなく、その枠の値段です。同じ経歴でも、契約の位置が一つ発注者に近づくだけで、単価は大きく変わります。

ふたば

経歴を評価された結果の金額だと思っていました。

永瀬

多くの人がそう受け取ります。だから安い提示を受けると、自分の市場価値が低いのだと考えてしまう。実際には、協力会社の枠には単価表があり、PMという区分の上限が先に決まっていることが多い。あなたがどれだけ優秀でも、その表の上限は超えません。

ふたば

位置は、どうすれば確かめられますか。

永瀬

紹介会社に聞いてください。発注者はどこか、自分の契約相手はどこか、その間に何社入るか。答えを濁す会社の案件は、位置が深いと考えたほうがいい。

誰の予算から払われるかで、上限が変わる

ふたば

発注者と直接契約できれば、あとは高くなるんでしょうか。

永瀬

もう一つ条件があります。発注者の社内で、どの部署の予算から払われるかです。

ふたば

部署によって違うんですか。

永瀬

違います。情報システム部門の外注費から払われる場合、比較対象はエンジニアやSIerの人月単価です。その物差しの中では、月100万円のPMは高く見える。一方、事業部や経営企画の予算から払われる場合、比較対象はコンサル会社です。

ふたば

コンサル会社の料金と比べられる。

永瀬

そうです。コンサル会社に推進役を一人頼めば、個人のフリーランスよりかなり高い金額になります。会社としての管理費や体制の費用が乗るので。その金額を知っている部門にとって、月120万円の個人は割安に映る。発注側から見た費用の内訳はPM代行の費用相場に書いています。

ふたば

同じ人が同じ仕事をしても、比べられる相手が違うと評価が変わるわけですね。

永瀬

はい。だから単価を上げたい人は、技術の案件から事業の案件へ移っていきます。基幹システムの刷新でも、情報システム部門の下で開発を管理するPMと、事業部門の側で業務の変更まで含めて推進するPMでは、払う部署が違う。

ふたば

私の経験は開発の管理が中心です。事業側の案件に入れるものでしょうか。

永瀬

開発を知っている人が発注者の側に立つことには価値があります。ベンダーの見積や進捗報告の中身を確かめられるので。その経験を「発注者の代わりにベンダーを動かせる」という言い方に直せるかどうかです。

役割ごとの単価帯と、100万円の線

ふたば

役割の違いで、金額はどのくらい変わりますか。

永瀬

先に、高い側の実例から。当社が現在扱っているPM系の月額制の業務委託案件は3件で、上限は月100万円、123万円、140万円です(2026年10月時点)。3件とも稼働は100%で、出社は週1〜2日か、立ち上げ期だけ多めという条件です。件数が少ないので相場ではなく、100万円を超える案件の実例として見てください。

ふたば

100万円というのは、一つの線なんですね。

永瀬

私たちのネコノテエキスパートは、100万円/人月以上の案件だけを紹介しています。月160時間で時給に直すと約6,250円。決定単価の平均が80万円前後ですから、平均より2割ほど上の線です。

ふたば

その線を超える案件は、何が違うんですか。

永瀬

求められる役割が違います。面談や案件の依頼内容を見ていると、だいたい三段階に分かれます。

役割引き受ける範囲単価の傾向
進行管理が中心進捗、課題、会議の運営。判断はPMや発注者が行う平均より下になりやすい
プロジェクトの責任者計画、体制、ベンダーとの折衝、納期と品質の判断平均の前後
発注者の代行予算と範囲の見直し、役員への説明、止めるか続けるかの判断材料づくり100万円を超える案件はここに集まる

ふたば

三つめは、PMというより経営に近い仕事に見えます。

永瀬

そう見えるはずです。100万円を超えるPM案件で買われているのは管理の手間ではなく、発注者が自分で下せない判断の材料です。予算を増やすか範囲を削るか、ベンダーを替えるか続けるか。そこに根拠を持って意見を言える人に、高い金額がつきます。

ふたば

進行管理を丁寧にやっても、上の段には行けない。

永瀬

行けません。丁寧さは継続の理由にはなりますが、単価の理由にはならない。段を上がるには、今の現場で判断の場面に一つでも関わることです。

月額だけでは比べられない、精算幅と稼働日数

ふたば

提示された条件に「精算幅140〜180時間」とありました。これは何ですか。

永瀬

月の稼働がその範囲に収まる限り、金額は固定という取り決めです。準委任契約ではよく使われます。ここを見落とすと、月額の比較を間違えます。

ふたば

どういうことでしょう。

永瀬

月100万円の契約で計算します。

月の稼働時間月額時給換算
140時間100万円約7,143円
160時間100万円約6,250円
180時間100万円約5,556円

ふたば

同じ100万円で、時給が1,600円近く違います。

永瀬

PMは会議と調整で稼働が伸びやすい職種です。精算幅の上限に毎月張りつく現場なら、月100万円の案件より、月90万円で160時間に収まる案件のほうが時給は高い。前任者や同じ現場の人の稼働実績を、契約前に聞いてください。

ふたば

週3日のような稼働を減らした契約だと、単価はどうなりますか。

永瀬

日数に比例して按分するのが基本です。月100万円の人が週3日なら60万円。ただしPMの場合、週3日の案件は数が限られます。発注側は、PMには平日いつでも連絡がつくことを期待するので。

ふたば

稼働を減らして複数の案件を持つ、というのは難しいですか。

永瀬

できる人はいますが、責任者の役割を二つ同時に持つのは現実的ではありません。一つは責任者、もう一つは助言役という組み合わせなら成り立ちます。小さい稼働の案件の実情はPMOの副業単価の記事を見てください。

提示された単価に、どう返すか

ふたば

75万円の案件は、断ったほうがいいでしょうか。

永瀬

断る前に、三つ確かめてください。契約の位置、精算幅と稼働の実績、任される役割の範囲。位置が深く、役割が進行管理に限られるなら、その案件で金額を上げる余地はほとんどありません。別の案件を探したほうが早い。

ふたば

金額の交渉はできないんですか。

永瀬

契約前ならできます。契約後に上げるのは難しい。更新のたびに予算が見直されるわけではないので。言い方は、金額だけを求めるのではなく、役割と組にしてください。「ベンダーとの折衝と、役員報告の作成まで引き受ける。その範囲であれば90万円でお願いしたい」という形です。

ふたば

役割を広げる提案とセットにするんですね。

永瀬

発注側にとって、金額だけの交渉は費用の増加です。役割つきの交渉は、買えるものが増える話になります。通りやすさが違う。

ふたば

最初の案件は、実績づくりと割り切って安く受けるという考え方もありますよね。

永瀬

勧めません。最初の単価は、次の案件で「前回はいくらでしたか」と聞かれたときの基準になります。安く始めると、取り戻すのに2件、3件とかかる。独立そのものを迷っているなら、先にフリーランスPMはやめとけと言われる理由を読んでから決めてください。

ふたば

紹介会社に、発注者はどこか、間に何社入るかを聞くところから始めます。

永瀬

それを聞くだけで、75万円が自分の値段なのか枠の値段なのかが分かります。枠の値段だったなら、あなたの経歴に合う案件は別の場所にあります。

参考データと出典

フリーランスPMの単価は、掲載された募集の金額か、決定した契約の金額かで数字が変わります。受取額は、契約の位置と紹介料によってさらに変わります。

データ数字時点・条件
ネコノテキャリア求人データベースPM系の月額制の業務委託案件3件。上限は月100万円、123万円、140万円(中央値123万円)。3件とも稼働100%2026年10月時点。当社が紹介中の月額制案件3件で、上限の金額のみの表記。業務委託求人全体を網羅した集計ではなく、相場を示す数字ではない
レバテックフリーランス PMの単価相場決定単価の平均 月約80.8万円。30代 約81.1万円、40代 約87.2万円、50代以上 約87.7万円。2025年1〜6月は約89.8万円2026年6月時点。集計期間2020年7月〜2025年6月、週5日稼働の決定単価
レバテックフリーランス プロジェクトマネージャー(PM)の案件一覧掲載案件の平均単価 月88万円(最高295万円、最低10万円)2026年10月閲覧。同サイトに掲載された公開案件の月額単価
ネコノテエキスパートの紹介基準100万円/人月以上(月160時間稼働の場合、時給換算で約6,250円)紹介対象を限定する基準で、契約成立や稼働開始を保証するものではない

本文の時給換算は、月額を稼働時間で割った計算値です。契約の位置や役割による単価の違いは、当社が面談と案件の依頼内容から整理した傾向で、統計ではありません。

よくある質問

フリーランスPMの単価相場はいくらですか?

レバテックフリーランスの公開データでは、決定単価の平均が月約80.8万円(週5日稼働、2026年6月時点)、掲載案件の平均が月88万円(2026年10月閲覧)です。募集の金額は上限で書かれることが多いため、相場としては決定単価のほうが実態に近くなります。

フリーランスPMで月100万円以上の案件を取るには何が必要ですか?

進行管理にとどまらず、予算や範囲の見直し、役員への説明など、発注者が判断するための材料づくりまで引き受けられることです。あわせて、発注者と直接、または紹介会社1社だけを挟む位置で契約することが条件になります。

経験年数が長いほど単価は上がりますか?

年数だけでは上がりません。レバテックフリーランスの決定単価は40代が約87.2万円、50代以上が約87.7万円で、ほぼ横ばいです。単価が上がるのは、契約の位置が発注者に近づいたときと、引き受ける役割が広がったときです。

精算幅とは何ですか?

月の稼働時間が一定の範囲(例:140〜180時間)に収まる限り、報酬を固定とする取り決めです。同じ月100万円でも、140時間なら時給換算で約7,143円、180時間なら約5,556円になります。契約前に、現場の稼働実績を確認してください。

契約した後に単価を上げることはできますか?

難しいのが実情です。交渉は契約前に行い、金額だけでなく引き受ける役割の範囲と組にして提案してください。最初の単価は次の案件の基準にもなるため、安く始めることは勧めません。

この記事は、PM・PdM・企画職専門の転職支援「ネコノテキャリア」と副業・業務委託の案件紹介「ネコノテエキスパート」を運営する株式会社スナネコが、実務知見に基づいて制作しています。

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