PM代行の費用相場|月60万円と180万円の見積の中身と、安い代行が失敗する理由
PM代行の費用相場は、フリーランスPMの決定単価で平均約80.8万円、会社経由では管理費が乗ります。見積の3倍差の内訳、「PM」の実態がPMOであるケースの見分け方、削っていい項目と削ってはいけない項目を解説します。
この記事でわかること
- PM代行の費用は「PM本人の単価」と「会社が乗せる費用」の2階建て。フリーランスPMの決定単価は平均約80.8万円
- 週5日で60万円台の「PM代行」は、実態がPMOであることが多い。見積の役割名ではなく本人の経歴で見分ける
- 失敗の主因は判断の権限を渡していないこと。費用を抑えるなら、高いPMの時間を資料作りに使わせない
永瀬
PM・企画職専門の転職エージェント「ネコノテキャリア」の中の人。オブラートに包まない物言いが持ち味で、相場も裏事情も聞かれれば正直に話す。少し口が悪い。
ふたば
事業会社の情報システム部で5年目。来期の基幹システム刷新でPMを外から入れることになり、3社の見積の妥当性を判断できずにいる。
目次
PM代行の見積を3社から取ると、月60万円から180万円まで、同じ「PM1名」で3倍の開きが出る。安い会社が手を抜いているのか、高い会社が取りすぎているのか、見積書からは読み取れない。
開きの理由は、金額の内訳にある。PM代行の費用は、来る人の単価と、その人に何を任せるかで決まっていて、会社の看板とはほとんど関係がない。
ふたば(事業会社の情報システム部で5年目。基幹システム刷新でPMを外から入れることになった)
永瀬さん、来期の基幹システム刷新で、PMを外から入れることになりました。3社から見積を取ったら、月60万円、100万円、180万円。同じ「PM1名、週5日」なのに、どれが妥当なのか判断できなくて。
永瀬(PM専門エージェント)
3倍の開きは普通です。むしろ、その3社が同じものを売っていると思うほうが危ない。PM代行の費用は「PM本人の単価」と「会社が乗せる費用」の2階建てで、安い見積は多くの場合、1階のPM本人がPMではなくPMOです。そこから見ていきます。
PM代行の費用相場は月いくらか
ふたば
まず、相場としてはいくらくらいを見ておくべきですか。
永瀬
公開データから言います。フリーランスのPMで、決定単価の平均が約80.8万円。直近の2025年上半期は約89.8万円まで上がっています(レバテックフリーランス、2026年6月時点、週5日稼働)。PMOだと平均75万円、幅は29万円から175万円(同、2023年9月時点)。
当社の求人データベースで業務委託のPM・PMO案件を集計すると、月額制の案件は65万〜120万円に収まり、時間単価制は下限の中央値が3,000円台、上限の中央値が8,000円前後です(PM・PMO系の業務委託・副業案件15件、2026年8月時点)。当社の案件紹介サービスは月100万円以上の案件だけを扱っていますが、市場全体ではもう少し下に山があります。
| 依頼先 | 月額の目安 | 含まれるもの |
|---|---|---|
| フリーランスと直接契約 | 個人の単価そのまま。80〜100万円前後が中心 | PM本人の稼働だけ。交代要員なし |
| エージェント経由の業務委託 | 個人の単価に紹介料が乗る | 人選と契約実務。交代要員は案件による |
| PM代行会社・コンサル会社 | 会社の管理費と体制費が乗る。150万円以上も | 上位者のレビュー、交代要員、複数人の体制 |
永瀬
会社経由で乗る管理費や体制費の割合は、会社ごとの契約条件で違うので、ここでは数字を出しません。見積の内訳を聞けば、大抵は教えてくれます。教えてくれない会社は、内訳を説明できない構造で値付けをしている可能性があります。
ふたば
60万円の見積は、フリーランスの平均より安いということですね。
永瀬
そうです。週5日で60万円は、フリーランスPMの平均を20万円下回ります。この金額で「PM」を名乗る人が来るなら、経験の浅い人か、実態はPMOかのどちらかです。悪い契約とは限りませんが、PMを頼んだつもりでPMOが来ると、プロジェクトは進まないまま費用だけ出ていきます。
見積の「PM」がPMなのかPMOなのか
ふたば
PMとPMOは、そんなに違うものですか。
永瀬
決める人か、決めるのを支える人か。それだけ違います。PMは、スコープ、優先順位、リスク対応を判断して、関係者に決めさせる責任を持つ。PMOは、その判断のために進捗を集めて、課題を整理して、会議を回す。
PM代行会社の見積書には、どちらも「PM」と書かれていることがあります。私たちはPM・PMOの人材紹介と業務委託の案件紹介をやっているので、どの会社がどういう人を出しているかを日常的に見ていますが、はっきり言うと、月60〜70万円の「PM代行」で来る人の多くは、PMO経験が中心の人です。会社が嘘をついているわけではなく、業界で言葉の使い方がゆるいだけです。
ふたば
見積書だけでは見分けられないということですか。
永瀬
見積書の項目名では無理です。見分ける方法は2つあります。1つは、契約前に現場に入る本人と面談すること。営業担当ではなく本人です。もう1つは、面談で「遅れたときに、あなたは何をしますか」と聞くこと。
PMの人は、遅れの原因を特定して、スコープを削るか期限を動かすかの選択肢を作って、決める人に決めさせる、と答えます。PMOの人は、遅れを報告して対策を関係者に検討してもらう、と答えます。どちらも正しい仕事ですが、御社が月100万円を払うなら、前者でないと合いません。
- 見積書の役割名ではなく、本人の経歴でPMかPMOかを判断する
- 「遅れたときに何をするか」で、判断する側か支える側かを聞き分ける
- 本人との面談を断る会社は、人が決まっていないか、見せられない事情がある
安いPM代行が失敗する本当の理由
ふたば
安いと失敗する、という言い方をされましたが、金額だけの問題ではないんですよね。
永瀬
金額の問題ではありません。安いPM代行が失敗する理由は、発注側が「決める権限」を渡していないことで、それは高いPM代行でも同じように起きます。安い契約で目立つだけです。
PMを外から入れる会社の多くは、PMに情報を集めさせて、報告資料を作らせて、判断は社内の部長が会議でする、という形にします。すると、外のPMは判断に必要な情報を持っているのに決められず、部長は決める立場なのに情報を持っていない。判断が会議の日まで止まります。基幹刷新のような案件で、この止まり方を月に何度か繰り返すと、半年で1か月は遅れます。
ふたば
判断を外の人に任せるのは、社内で通りにくい気がします。
永瀬
通りにくいでしょう。ただ、全部を任せる必要はありません。金額の判断、スコープを削る判断、ベンダーとの契約に関わる判断は社内。それ以外の、優先順位の入れ替えや、課題への対応順や、会議体の設計は、外のPMに決めさせる。この線引きを契約前に文書にしておくと、止まる回数が減ります。
線引きがないまま入ると、外のPMは安全側に倒れて、全部を社内に聞きます。聞かれる側は「それくらい決めてほしい」と思い、聞く側は「勝手に決めるなと言われたくない」と思う。この状態で月100万円払うのは、もったいない。
費用を抑えるなら、削っていい項目と削ってはいけない項目
ふたば
予算は限られているので、できれば抑えたくて。どこなら削れますか。
永瀬
削れる項目と削れない項目を分けます。
| 項目 | 削れるか | 理由 |
|---|---|---|
| 常駐(毎日出社) | 削れる | 情報が決まった場所に集まる仕組みがあれば、判断は遠隔でできる |
| 定例会議用の報告資料の作成 | 削れる | 情報収集と資料のたたき台は、いまはAIで置き換えられる。PMの時間をここに使わせない |
| 立ち上げ期(最初の1〜2か月)の稼働 | 削れない | 関係者の認識を揃える時期。ここを薄くすると、後半のやり直しで倍かかる |
| 意思決定の場への同席 | 削れない | 同席しないPMは、判断の材料を持っていても決められない |
| 週2〜3日への稼働圧縮 | 条件付き | 情報の仕組みができた後なら可能。立ち上げ期からやると事務局係になる |
永瀬
資料作成を削れると言ったのは、AIの話です。議事録、進捗の集計、報告資料のたたき台。これは人がやる仕事ではなくなっています。私たちの会社が提供しているAI駆動PMという支援は、この部分をAIに担わせて、人の稼働を意思決定と調整に集中させる設計にしています。費用を抑える一番確実な方法は、単価の安いPMを探すことではなく、単価の高いPMの時間を、資料作りに使わせないことです。
ふたば
単価を下げるのではなく、高い人の使い方を変えるということですね。
永瀬
そうです。月100万円のPMが、週の半分を報告資料に使っていたら、50万円分は集計係に払っています。その仕組みを先に作れば、同じ100万円で倍の判断が回ります。
見積を比べるときに会社へ聞く5つの質問
ふたば
3社に聞き直すとしたら、何を聞けばいいですか。金額の内訳を聞くだけでいいんでしょうか。
永瀬
内訳は入り口です。内訳を聞くと、その会社が何を売っているかが分かります。5つ聞いてください。
- 人月単価のうち、現場に入る本人の報酬はいくらか。答えられない会社は、人が決まっていない
- 本人が抜けたときの交代要員は、契約に含まれるか。含まれるなら、その分が単価に乗っている
- 上位者のレビューは、誰が、月に何回、何を見るのか。「随時」と答える会社は、レビューが実態としてない
- 報告資料の作成は、本人の稼働に含まれるか。含まれるなら、その時間が判断に使われないことを意味する
- 過去の同規模案件で、途中で契約を打ち切った例はあるか。理由は何か
ふたば
最後の質問は、答えにくそうです。
永瀬
答えにくいから聞きます。打ち切りの例がない会社はありません。あると答えて理由を説明できる会社は、自分たちの限界を知っています。ないと答える会社は、知らないか、言わないかのどちらかです。
私たちがPM人材を企業に紹介するとき、企業側からも同じことを聞かれます。「この人が合わなかったらどうなるのか」。それに答えられない紹介は、しないようにしています。代行会社に対しても、同じ基準で聞いていいと思います。
ふたば
180万円の会社は、交代要員と上位者のレビューが入っているそうです。100万円の会社は本人だけ。60万円の会社は、まだ内訳を聞いていません。
永瀬
なら、その3社は違うものを売っています。180万円は体制を、100万円は個人を、60万円はおそらくPMOを。同じ表に並べて金額で比べる意味はありません。御社の基幹刷新に必要なのが、判断のできる個人なのか、途中で人が変わっても止まらない体制なのかを先に決めれば、比べる相手は1社か2社に絞れます。
発注前に決めておくこと
ふたば
契約前に、社内で何を決めておけばいいですか。
永瀬
4つです。
- 頼むのはPMかPMOか。判断を任せたいなら、見積の役割名ではなく本人の経歴でPMを選ぶ。PMOを頼む場合の依頼先の決め方はPMO外注の選び方で扱っている
- 外のPMに任せる判断の範囲。金額とスコープと契約は社内、優先順位と対応順と会議体はPM、のように文書にする
- 情報の出し方。各部門に「聞かれたら答える」ではなく「決まった場所に書く」を求められるか
- 期間と終了条件。いつまでに社内で回る状態にするか。外のPMが抜けたあとに残る仕組みを、最初から要件に入れる
ふたば
3社の見積を、もう一度見直します。「PM1名」の中身を、本人に会って確かめてから決めます。
永瀬
それで大きくは外しません。金額の3倍差は、内訳を聞けば説明がつきます。説明がつかない見積が、一番高くつきます。
参考データと出典
この記事の数字は、次のデータにもとづいています。求人票や案件の提示単価は契約時の実額とは異なり、集計の対象と時点によって数字は変わります。
| データ | 内容 | 時点・条件 |
|---|---|---|
| レバテックフリーランス PMの単価相場 | 決定単価の平均約80.8万円(週5日稼働)、2025年1〜6月は約89.8万円 | 2026年6月時点。集計期間2020年7月〜2025年6月 |
| レバテックフリーランス フリーランスPMOの単価相場 | 平均月額75万円、幅は月29〜175万円 | 2023年9月時点 |
| ネコノテキャリア求人データベース | PM・PMO系の業務委託・副業案件15件。月額制は65〜120万円、時間単価制は下限中央値3,000円台・上限中央値8,000円前後 | 2026年8月時点、新着順に抽出。提示レンジの中央値 |
会社経由の場合の管理費や体制費の割合は、会社ごとの契約条件で異なるため、この記事では数字を示していません。見積を比べるときは、人月単価に何が含まれているか(交代要員、上位者のレビュー、契約管理)を内訳で確認してください。
よくある質問
PM代行の費用相場はいくらですか
フリーランスのPMで決定単価の平均が約80.8万円、2025年上半期は約89.8万円(レバテックフリーランス、2026年6月時点、週5日稼働)。会社経由で依頼すると、この個人単価に管理費や体制費が乗ります。週5日で60万円台の見積は、実態がPMOである可能性を本人の経歴で確認してください。
PM代行とPMO支援は何が違いますか
PMはスコープや優先順位を判断して関係者に決めさせる責任を持ち、PMOはその判断のために進捗や課題を整理します。PM代行会社の見積書ではどちらも「PM」と書かれることがあるため、契約前に本人と面談し、「遅れたときに何をするか」で判断する側か支える側かを聞き分けてください。
PM代行は週2〜3日の稼働でも成り立ちますか
情報が決まった場所に集まる仕組みができた後なら成り立ちます。立ち上げ期(最初の1〜2か月)から稼働を圧縮すると、関係者の認識が揃わないまま進み、後半のやり直しで費用が倍かかります。
安いPM代行はやめたほうがいいですか
金額だけでは判断できません。失敗の主な原因は、発注側が外のPMに判断の権限を渡していないことで、高い契約でも同じように起きます。任せる判断の範囲を契約前に文書にしておくことのほうが、単価より結果に影響します。
PM代行の費用を抑える方法はありますか
単価の安いPMを探すより、単価の高いPMの時間を報告資料の作成に使わせないことです。議事録、進捗の集計、資料のたたき台はAIで置き換えられる領域で、そこを仕組みにすると、同じ費用で意思決定に使える時間が増えます。
この記事は、PM・PdM・企画職専門の転職支援「ネコノテキャリア」と副業・業務委託の案件紹介「ネコノテエキスパート」を運営する株式会社スナネコが、実務知見に基づいて制作しています。