フリーランスPMの案件の取り方|契約が切れる前に次を決める人がやっていること

フリーランスPMの案件獲得の方法を、フリーランス白書の調査結果をもとに解説します。次の案件が今の現場から生まれる理由、一緒に働いた人からの紹介のされ方、紹介会社の使いどころ、契約終了3か月前からの動き方を整理します。

この記事でわかること

  • フリーランスの主な収入の入り口は取引先が32.7%、人脈が27.9%で、紹介会社は13.4%にとどまる
  • 契約が終わる3か月前に発注者と稼働後の課題を話し、次の段階の契約や紹介につなげる
  • 紹介されやすいのは、何を頼めばいいかを一言で説明できる人。紹介会社は相場の確認にも使う

どろん先輩

PM・企画職専門の転職エージェント「ネコノテキャリア」の中の人。オブラートに包まない物言いが持ち味で、相場も裏事情も聞かれれば正直に話す。少し口が悪い。

はじめ

SIerから独立して1年目のフリーランスPM。最初の案件は紹介会社経由で決まったが、3か月後に契約が終わる。次の案件をどこから探せばいいのか分からずにいる。

目次
  1. フリーランスPMの案件は、どこから来ているのか
  2. 次の案件は、今の現場の中から始まっている
  3. 人脈は、交流会ではなく一緒に働いた人の中にある
  4. エージェントは、いつ、どう使うか
  5. 契約が終わる3か月前から、何をするか
  6. 参考データと出典
  7. よくある質問

フリーランスPMとして独立し、最初の案件を紹介会社経由で決めた人がつまずくのは、その次である。契約の終わりが見えてきた頃に「次の案件をどこから取ればいいのか」と手が止まる。紹介会社にもう一度登録し直すくらいしか、思いつく手がないからだ。

ところが、フリーランス全体の調査を見ると、最も収入になる仕事の入り口として多いのは、紹介会社より、今と過去の取引先、そして人脈である。PMの場合、その取引先と人脈は、いま入っている現場の中にある。契約が切れる前に次を決めている人が、どこで何をしているのかを整理する。

フリーランスPMの案件は、どこから来ているのか

はじめ(独立1年目のフリーランスPM)

SIerから独立して、最初の案件は紹介会社から決まりました。その契約が3か月後に終わります。次をどう探せばいいのか分からなくて。

どろん先輩(PM専門エージェント)

紹介会社に登録し直す、以外の手は考えましたか。

はじめ

正直、それしか思いつきません。交流会に行くとか、SNSで発信するとかも聞きますが、自分に向いている気がしなくて。

どろん先輩

先に、フリーランス全体で仕事がどこから来ているかを見てください。フリーランス協会の白書に、最も収入が得られる仕事の入り口を聞いた結果があります。

最も収入が得られる仕事の入り口割合
過去、現在の取引先32.7%
人脈(知人の紹介を含む)27.9%
エージェントサービスの利用13.4%
自分自身の広告宣伝(Web、SNSなど)12.3%
求人広告5.8%
クラウドソーシング5.2%

はじめ

紹介会社は13%しかないんですか。

どろん先輩

職種を問わない調査なので、PMにそのまま当てはまるとは言いません。ただ、取引先と人脈を足すと6割を超える。フリーランスの主な収入の入り口は、紹介会社より、一度一緒に働いた相手のほうです。

はじめ

でも、独立1年目の私には、取引先なんてまだ一社しかありません。

どろん先輩

その一社が、いま入っている現場です。そこが次の案件の一番近い入り口になる。

はじめ

今の現場から、次の案件が出てくるんですか。

どろん先輩

出てきます。ただし、待っていても出てこない。

次の案件は、今の現場の中から始まっている

はじめ

今の契約は、システムの稼働までで終わる予定です。延長の話は出ていません。

どろん先輩

稼働までで終わるのは、PMの契約としては自然です。プロジェクトがうまく進むほど、PMの仕事はなくなる。問題は、その後に発注者の側で何が起きるかを、あなたが知っているかどうかです。

はじめ

稼働後のことは、あまり考えていませんでした。

どろん先輩

稼働したシステムを業務に定着させる仕事、次の段階で後回しにした機能の開発、同じ会社の別の部署で似たような刷新。発注者の社内には、だいたい次の課題があります。それを一番よく知っているのは、今その現場にいるあなたです。

はじめ

それを、自分から提案するんですか。

どろん先輩

そうです。契約が終わる3か月前くらいに、発注者の責任者と「稼働後に残る課題」を話す場をつくってください。売り込みの場ではなく、引き継ぎの相談として。

はじめ

引き継ぎの相談なら、切り出しやすいですね。

どろん先輩

話していくと、「稼働後の定着も見てほしい」「次の段階もお願いできないか」という話になることがあります。ならなかったとしても、発注者が次に何を困っているかが分かる。次の案件を取る人は、今の契約が終わる前に、発注者の次の課題を自分から聞きにいっています。

はじめ

話す場をつくる前に、今の現場でやっておけることはありますか。

どろん先輩

引き継ぎの資料を、発注者の社内の人が読む前提で作ることです。ベンダーとのやり取りの経緯、残っている課題、判断を保留していることを、発注者の言葉で書いておく。PMが抜けた後に一番困るのは発注者なので、その資料は必ず読まれます。

はじめ

資料が、次の話のきっかけになる。

どろん先輩

資料を読んだ責任者が、「この続きも見てもらえないか」と思えば、それが次の案件です。思わなかったとしても、仕事の終わらせ方は、紹介してもらうときの評判として残ります。

はじめ

延長してもらえなかった場合は、どうなりますか。

どろん先輩

その場でできることがもう一つあります。発注者の責任者に、「似た課題を抱えている会社や部署があれば紹介してほしい」と頼むことです。稼働までやり切った後なら、頼みやすいし、相手も紹介しやすい。

人脈は、交流会ではなく一緒に働いた人の中にある

はじめ

人脈と言われると、交流会で名刺を配るようなことを想像してしまいます。

どろん先輩

PMの人脈は、そこにはあまりありません。仕事をくれるのは、あなたの仕事ぶりを見たことのある人です。

  • 過去の現場の発注者。異動や転職で、別の会社の責任者になっていることがある
  • 一緒に仕事をしたベンダーやSIerのPM。自社の案件で人が足りないときに声をかけてくる
  • 同じ現場にいたコンサル会社のマネージャー。発注者の側に立つPMを探していることがある

はじめ

SIer時代の同僚や、取引先の人も入るんですね。

どろん先輩

入ります。会社員時代の人脈が、独立して初めて案件の入り口になる。だから、現場を離れるときに連絡先を残しておくこと、半年に一度くらい近況を送ることくらいはしておいてください。

はじめ

近況を送るといっても、何を書けばいいのか。

どろん先輩

「今こういう案件をやっていて、何月から次を探している」と書けば十分です。そのうえで、あなたに何を頼めばいいかが一言で伝わるようにしてください。

はじめ

一言で、ですか。

どろん先輩

「PMをやっています」では、紹介する側も困る。「基幹システムの刷新で、発注者側に立ってベンダーを動かすPMをやっています」と言えれば、思い当たる相手に紹介できる。紹介されやすいのは、腕のいい人より、何を頼めばいいかを一言で説明できる人です。

はじめ

白書にあった「自分自身の広告宣伝」、SNSやブログでの発信はどうですか。

どろん先輩

12.3%あるので、効く人には効きます。ただ、PMの場合は、発信を読んだ人が案件を頼むまでに時間がかかる。炎上したプロジェクトをどう立て直したか、ベンダーとどう交渉したかといった判断の話を、何本も書き続けてようやく声がかかる、という順番です。

はじめ

独立1年目の、3か月後に契約が切れる私が今から始めても、間に合わない。

どろん先輩

今回の次の案件には間に合いません。その次か、さらにその次のための種まきだと思ってください。今は、すでにあなたの仕事を見たことのある人に連絡するほうが先です。

はじめ

役割を絞るのは、案件の幅を狭めるようで不安です。

どろん先輩

逆です。絞ると、その一言を覚えてもらえる。幅広く何でもできると言う人は、誰の頭にも残りません。

エージェントは、いつ、どう使うか

はじめ

ここまで聞くと、紹介会社は使わないほうがいいように聞こえます。

どろん先輩

私が紹介会社の人間なので言いにくいですが、使い方の問題です。紹介会社が役に立つ場面ははっきりしています。

場面紹介会社を使う理由
今の現場から次の話が出ず、人脈にも当てがない空白の月を出さないための入り口になる
自分の単価が相場に合っているか分からない複数の案件の条件を見ることで、相場を知れる
個人では取引口座を開いてもらえない大企業に入りたい紹介会社が契約の間に入ることで、個人でも入れることがある

はじめ

単価の相場を知るために使う、というのは考えたことがありませんでした。

どろん先輩

取引先や人脈から来る案件は、比べる相手がいないまま金額が決まりがちです。たまに紹介会社の案件を見て、自分の値段を確かめておく。条件の読み方はフリーランスPMの単価相場に書きました。

はじめ

紹介会社を通すと、手数料の分だけ受け取る金額は減りますよね。

どろん先輩

減ります。紹介会社は発注者が払う金額から自社の取り分を引いて、残りをあなたに払う仕組みです。同じ発注者と直接契約できるなら、そのほうが受け取る金額は多くなる。だから、取引先や人脈から直接来る話を先に探し、紹介会社はその次に置く。紹介会社の人間がこう言うのも変ですが、それが手取りを守る順番です。

はじめ

紹介会社は、いくつ登録すればいいですか。

どろん先輩

数を増やすより、担当者に自分の役割を正しく伝えるほうが効きます。さっきの「何を頼めばいいかの一言」を、紹介会社の担当者にも伝えてください。そうしないと、一番数の多い案件に当てられます。

はじめ

ネコノテエキスパートは、どういう案件を扱っているんですか。

どろん先輩

100万円/人月以上の案件だけを紹介しています。月160時間で割ると時給で約6,250円です。発注者の側に立って判断の材料をつくる役割の案件が中心なので、その役割の経験がある人に向いています。PMOの経験が中心の人は、フリーランスPMOの案件と単価を先に読んでください。

契約が終わる3か月前から、何をするか

はじめ

3か月後に契約が終わる私は、今日から何をすればいいですか。

どろん先輩

時期ごとにやることを分けます。

時期やること
終了の3か月前発注者の責任者と、稼働後に残る課題を話す。延長や次の段階の可能性を聞く
終了の2か月前過去の現場の人に近況を送る。紹介会社に、空く時期と自分の役割を伝える
終了の1か月前来た話の条件を比べ、面談と交渉を進める。決まらなければ、今の発注者に短い延長を相談する

はじめ

1か月前に決まっていなくても、延長を相談するという手があるんですね。

どろん先輩

発注者にとっても、稼働直後に誰もいなくなるのは不安です。1か月や2か月の延長なら、通ることがあります。その間に次を決めればいい。

はじめ

それでも空白の月が出てしまったら、どう考えればいいですか。

どろん先輩

1か月の空白を埋めるために、役割も単価も下げた案件に飛びつかないことです。最初に下げた単価は、次の案件で「前回はいくらでしたか」と聞かれたときの基準になる。空白の月が出る前提で、生活費の数か月分を手元に置いておくのが、独立したPMの基本の備えです。

はじめ

契約の更新や終わり方は、契約書のどこを見ればいいですか。

どろん先輩

契約期間と、更新しないときに何日前までに伝えるかの決まりです。業務委託の契約の見方はPMの業務委託とはで説明しています。

はじめ

契約が切れることを前提に動く、というのは独立前に聞いていた以上に大変です。

どろん先輩

独立前に、その覚悟を確かめておいてほしかった、とは思います。フリーランスPMはやめとけと言われる理由に書いたように、うまくいくほど契約が終わるのがPMの仕事です。ただ、終わりが見えているということは、準備の時期も分かっているということでもある。

はじめ

まずは来週、発注者の責任者に、稼働後の引き継ぎの相談を入れてみます。

どろん先輩

それで次の話が出なくても、責任者に「何を頼めばいい人か」を覚えてもらえれば、その相談はもう半分成功しています。

参考データと出典

仕事の入り口の割合は、職種を問わないフリーランス全体の調査です。PMに限った数字ではありません。

データ数字時点、条件
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書 2024」最も収入が得られる仕事の獲得経路は、「過去・現在の取引先」32.7%、人脈(知人の紹介を含む)27.9%、エージェントサービスの利用13.4%、自分自身の広告宣伝活動12.3%、求人広告5.8%、クラウドソーシング5.2%2023年10〜11月調査、回答1,242人。職種を問わないフリーランスが対象。単一回答
ネコノテエキスパート紹介するのは100万円/人月以上の案件のみ。月160時間で時給換算すると約6,250円2026年10月時点のサービス条件

契約が終わる前の動き方、紹介されやすい人の特徴は、当社が面談と案件の紹介を通じて整理した傾向で、統計ではありません。

よくある質問

フリーランスPMの案件はどうやって獲得すればいいですか?

主な入り口は、今と過去の取引先、一緒に働いた人からの紹介、紹介会社の三つです。フリーランス白書2024では、最も収入が得られる経路として取引先が32.7%、人脈が27.9%を占め、紹介会社は13.4%でした。PMの場合は、今の現場で発注者の次の課題を聞くことが、次の案件への一番近い入り口になります。

契約が終わる何か月前から次の案件を探せばいいですか?

3か月前には動き始めてください。3か月前に発注者と稼働後の課題を話し、2か月前に過去の現場の人と紹介会社に空く時期を伝え、1か月前に条件を比べて決めます。決まらない場合は、今の発注者に短い延長を相談する手もあります。

人脈がない場合はどうすればいいですか?

会社員時代に一緒に働いた発注者、ベンダーやSIerのPM、コンサル会社のマネージャーが、PMにとっての人脈です。交流会で新しく知り合うより、仕事ぶりを見たことのある人に近況と、自分に何を頼めばいいかを一言で伝えるほうが案件につながります。

フリーランスPMは紹介会社を使うべきですか?

使う場面を決めて使うのがよいでしょう。今の現場や人脈から次の話が出ないとき、自分の単価が相場に合っているかを確かめたいとき、個人では入れない大企業に入りたいときに役立ちます。担当者には、自分の役割を一言で伝えてください。

紹介されやすいフリーランスPMの特徴は何ですか?

何を頼めばいいかを一言で説明できる人です。「PMをやっています」より、「基幹システムの刷新で、発注者側に立ってベンダーを動かすPM」のように役割を絞って伝えると、紹介する側が相手を思い浮かべやすくなります。

この記事は、PM・PdM・企画職専門の転職支援「ネコノテキャリア」と業務委託の案件紹介「ネコノテエキスパート」を運営する株式会社スナネコが、実務知見に基づいて制作しています。

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