PMOの面接対策|聞かれる質問と、落ちる人に共通する答え方
PMOの面接で聞かれる質問と答えの組み立て方を解説します。見送り理由に多い答え方、志望動機と退職理由の伝え方、応募先別の準備、逆質問までをPM専門エージェントが対話形式で整理します。
この記事でわかること
- PMOの面接は答え方が実技試験として見られ、見送り理由は「話が長い」「役割が分からない」が多い
- 管理した実績より、会議や帳票を減らして現場の負担を下げた実績のほうが面接官の警戒を解く
- 逆質問でPMOの報告先と権限の実態を確かめないと、転職後も同じ立場に戻りやすい
永瀬
PM・企画職専門の転職エージェント「ネコノテキャリア」の中の人。オブラートに包まない物言いが持ち味で、相場も裏事情も聞かれれば正直に話す。少し口が悪い。
ふたば
SIerでPMO4年目。職務経歴書を直して書類は通るようになったが、一次面接で2社続けて落ち、何を見られているのか分からなくなっている。
目次
PMOの面接で落ちた人に理由を聞くと、たいてい「うまく話せなかった」と返ってくる。ところが企業から届く見送りの理由に、話し方の巧拙が書かれていることは少ない。書かれているのは、何をした人なのかが最後まで分からなかった、という一行である。
PMOの面接では、質問への答えと同じくらい、答え方そのものが見られている。会議を設計し、論点を整理し、時間内に結論へ運ぶのがPMOの仕事だからだ。面接官が何を確かめようとしているのかを、質問の種類ごとに見ていく。
PMOの面接は、それ自体が実技試験になっている
ふたば(書類は通るが面接で落ちるPMO4年目)
書類は通るようになったんですが、一次面接で2社続けて落ちました。聞かれたことには答えたつもりなんです。何が足りなかったのか分からなくて。
永瀬(PM・企画職専門の転職エージェント)
聞かれたことに答えた、という感覚は合っていると思います。ただ、PMOの面接は答えの中身だけで採点されていません。
ふたば
中身以外に何を見るんですか。
永瀬
答え方です。PMOの面接は、面接官から見るとそのまま実技試験になっています。この人に定例会議を任せたらどうなるかを、目の前の30分で確かめられるので。
ふたば
面接が会議の代わりになる、ということですか。
永瀬
そうです。エンジニアの面接なら、話が多少まとまっていなくてもコードで判断できる。PMOには持ち込める成果物がほとんどない。議事録も課題表も客先のものですから。残るのは、質問の意図を取って、要点から話して、時間内に収める、という振る舞いだけです。
ふたば
思い当たります。経緯から順番に説明して、途中で「結局どうなったんですか」と聞かれました。
永瀬
それが一番多い落ち方です。企業から戻ってくる見送り理由で繰り返し見るのは、「話が長い」「結論が見えない」「ご本人の役割が分からなかった」の三つ。能力が足りないとは書かれていない。
ふたば
準備不足というより、話す順番の問題なんですね。
永瀬
順番と長さです。一つの質問に対して、結論を一文、根拠を二つ、結果を一文。これで1分半に収まります。足りなければ面接官が掘ってくるので、最初から全部話す必要はない。掘られた質問に短く返せる人は、会議でも同じことができると判断されます。
面接官はPMOに少し警戒している
ふたば
面接官はどういう立場の人が出てくることが多いですか。
永瀬
一次は配属先のPMかPMOのリーダー、二次以降は部門長です。そしてPM出身の面接官の中には、PMOという職種に良い印象を持っていない人がいます。
ふたば
募集しているのに、ですか。
永瀬
募集はしています。ただ、過去に「管理のための管理」をするPMOに苦労した経験を持つPMは珍しくない。報告フォーマットを増やす、進捗の数字だけ聞いて回る、課題表を更新するが解決には動かない。そういう人をまた採ってしまわないか、という警戒が面接の底にあります。
ふたば
私もそう見られているかもしれない、と。
永瀬
可能性はあります。だからPMOの面接では、管理した話より、現場の負担を減らした話のほうが効きます。報告を一本化して会議を一つ減らした、PMが判断に使う資料を1枚にまとめた、という類の話です。
ふたば
仕組みを増やした実績を強調しようと思っていました。
永瀬
増やした話は半分にして、やめさせた話を一つ入れてください。不要な会議や帳票を止めるには、関係者を説得する必要がある。それができたという事実が、警戒している面接官には一番響きます。
「PMOとは何だと思いますか」と聞かれたら
ふたば
前回の面接で「あなたにとってPMOとは何ですか」と聞かれて、プロジェクトを円滑に進めるための支援組織です、と答えました。反応が薄かったです。
永瀬
教科書の定義を返すと、そうなります。あの質問は定義を聞いていません。
ふたば
では何を。
永瀬
あなたが自分の仕事の範囲をどこまでだと思っているか、です。答えを聞くと、その人が事務局として動いてきたのか、推進役として動いてきたのかがすぐ分かる。
ふたば
違いはどこに出ますか。
永瀬
主語と動詞に出ます。「PMを支援する」「円滑に進める」と答える人は、頼まれたことをこなしてきた人です。「PMが判断できる状態を作る」「遅れが小さいうちに表に出す」と答える人は、自分の責任範囲を持って動いてきた人です。
ふたば
後者のほうが評価される。
永瀬
応募先が推進役を求めているなら、そうです。ただ、言葉だけ借りても次の質問で崩れます。「では、判断できる状態を作った具体例を教えてください」と必ず続くので。答えは自分の案件から逆算して作ってください。実績の整理の仕方はPMOの職務経歴書の書き方と同じ手順が使えます。
志望動機と退職理由で落ちる人の共通点
ふたば
志望動機は、上流から関わりたい、いずれPMになりたい、と話しています。
永瀬
その二つは、PMOの面接で最もよく出て、最も通りにくい志望動機です。
ふたば
正直な気持ちなんですが。
永瀬
正直なのは分かります。問題は、採用側の事情と噛み合っていないことです。PMOを募集している会社は、PMOをやってくれる人が欲しい。そこで「PMになりたい」と言われると、いつ異動を言い出すか分からない人に見える。
ふたば
言わないほうがいいんでしょうか。
永瀬
隠す必要はありません。順番を変えてください。まず応募先のPMOとして何をするかを話し、その延長としてPMを語る。「御社のPMOは複数ベンダーの調整まで担うと伺っています。そこで結果に責任を持つ範囲を広げ、将来的にはPMを担えるようになりたい」という形なら、採用側の利益と本人の希望が同じ方向を向きます。
ふたば
退職理由はどうでしょう。今の現場は権限がなくて、提案しても通らないのが理由です。
永瀬
事実としてはよくある話で、PMOはやめとけと言われる理由でも書いたとおり、契約構造から来る問題です。ただ、面接でそのまま話すと不利になります。
ふたば
嘘は言っていないのに。
永瀬
面接官は、同じ状況がうちで起きたらこの人はどうするか、を考えます。「権限がなかった」で話を終えると、権限が与えられなければ動かない人だと受け取られます。PMOはもともと決裁権を持たない仕事なので、これは致命的に聞こえる。
ふたば
どう話せばいいですか。
永瀬
権限がない中でやったことを先に話し、それでも変えられなかった範囲を退職理由にする。「課題の報告ルートを整理するところまでは進めたが、契約上、ベンダー選定の議論には入れなかった。そこに関われる立場で働きたい」。これなら、動いた人が次の範囲を求めている、という話になります。
応募先の種類で、聞かれることが変わる
ふたば
会社によって、面接の雰囲気がかなり違う気がします。
永瀬
違います。PMOの求人は中身が何種類にも分かれていて、面接で確かめたいことも種類ごとに変わるので。分類そのものはPMO転職の完全ガイドで求人データから整理していますが、面接に絞ると次のようになります。
| 応募先 | 面接官が確かめたいこと | 準備しておく話 |
|---|---|---|
| コンサル会社のPMO | 初見の状況を短時間で整理して説明できるか | 入って最初の2週間で何を調べ、どう課題を切り分けたか |
| 大手SIerの品質保証PMO | 開発の現場を知っていて、PMに言いにくいことを言えるか | リスクを指摘して計画を変えさせた経験 |
| 事業会社の全社横断PMO | 役員や他部門を相手に、仕組みを定着させられるか | 標準やルールを作り、現場に使わせた経験 |
| 事業会社の情シス・DX推進PMO | 発注側としてベンダーを動かせるか | 見積や進捗報告の中身を確かめ、是正させた経験 |
ふたば
同じ実績でも、話す切り口を変えたほうがいいんですね。
永瀬
変えてください。たとえば「遅延していた案件の報告ルートを立て直した」という一つの実績でも、コンサル会社には原因をどう切り分けたかを、事業会社には部門間の合意をどう取ったかを中心に話す。事実は同じで、光を当てる場所が違うだけです。
ふたば
コンサル会社だと、ケース面接のようなものもありますか。
永瀬
会社によっては、「進捗が3か月遅れている案件に明日から入るとしたら、何から始めますか」のような状況設定の質問が出ます。正解を当てる問題ではないので、手順を言い切ってください。誰に何を聞くか、何の資料を見るか、最初の報告をいつ誰にするか。迷いながらでも順番を示せる人は通ります。
一次面接と最終面接で、落ちる理由が違う
ふたば
一次は通っても、最終で落ちる人もいると聞きます。
永瀬
います。一次と最終では面接官の立場が違うので、確かめる内容も変わります。一次の面接官は現場のPMやPMOリーダーで、明日から隣で働けるかを見ている。実績の細部を掘られるのはここです。
ふたば
最終は部門長や役員ですね。
永瀬
そうです。その層は細部を聞きません。聞くのは、なぜうちなのか、何年いるつもりか、今の年収と希望の根拠は何か。一次で実績を上手に話せた人が、ここで「御社の成長性に惹かれました」のような、どの会社にも言える志望理由を返して落ちます。
ふたば
最終のほうが、準備が薄くなりがちです。
永瀬
一次で聞いた話を使ってください。一次の面接官が話した現場の課題を覚えておき、最終で「一次で伺った複数ベンダーの調整の件に、前職のこの経験が使える」と結びつける。これだけで、その会社にしか言えない志望理由になります。
ふたば
一次の内容をメモしておく必要がありますね。
永瀬
面接が終わったら10分以内に書き出してください。面接官が困っていること、言葉を濁したところ、何度も確認されたこと。エージェント経由なら、その内容を担当者に伝えると、企業側の評価と合わせて次の面接の論点を整理できます。
ふたば
年収の希望はどう答えればいいですか。
永瀬
金額と根拠をセットで。現在の年収、応募先の提示レンジ、自分の役割の範囲の三つを並べて、「レンジの中でこの位置を希望する」と言えば足ります。相場の確認にはPMOの年収相場が使えます。根拠のない上乗せも、遠慮しての過小申告も、どちらも評価を下げます。
逆質問は、入社後の立場を確かめる時間にする
ふたば
最後の「何か質問はありますか」は、いつも研修制度や働き方を聞いています。
永瀬
もったいない使い方です。PMOの逆質問には、評価を上げる役割と、入ってから後悔しないための確認という役割の両方があります。
ふたば
何を聞けばいいですか。
永瀬
PMOの位置づけです。具体的にはこの四つ。
- PMOは誰に報告する立場か(PMの下か、部門長や経営の直下か)
- PMOが進行を止めたり、計画の見直しを求めたりした例はあるか
- 今回の募集は増員か欠員補充か、前任者は何に時間を使っていたか
- 入社後の最初の3か月で、何ができていれば期待どおりと言えるか
ふたば
二つめは、聞きにくい気もします。
永瀬
聞いてください。答えに詰まる会社は、PMOを事務局として置いている可能性が高い。逆質問で権限の実態を確かめておかないと、転職しても前の現場と同じ立場に戻ることになります。面談でも、転職先でまた議事録係になったという相談は少なくありません。
ふたば
評価の面でも効くんですか。
永瀬
効きます。この四つを聞く候補者は、入社後に自分が何をするかをすでに考えている人に見える。研修制度を聞く候補者とは、受ける印象が違います。
面接前日までに用意するもの
ふたば
次の面接は来週です。それまでに何を準備すればいいでしょう。
永瀬
三つあります。一つめは、実績を3件、それぞれ1分半で話せるようにすること。状況、自分がしたこと、変わったことの順で、声に出して時間を計ってください。書いた文章を読むのと、口で話すのとでは長さが変わります。
ふたば
計ったことはなかったです。
永瀬
計ると、たいてい3分を超えています。削るのは経緯です。プロジェクトの規模や体制の説明は一文で足ります。
ふたば
二つめは。
永瀬
応募先の求人票をもう一度読み、職務内容の動詞に印をつけること。「管理する」「推進する」「標準化する」「報告する」。その動詞に対応する実績を、3件の中から割り当てておきます。面接の質問は、ほぼその動詞から出ます。
ふたば
三つめは。
永瀬
うまくいかなかった案件を一つ、話せるようにしておくこと。PMOの面接では失敗談を聞かれることが多い。自分の読みがどこで外れ、次に何を変えたかまで話せれば、成功談より信用されます。
ふたば
失敗を話すのは不利だと思っていました。
永瀬
順調な案件にPMOは要りません。面接官が知りたいのは、荒れた現場であなたがどう動くかです。
ふたば
経緯を削って、やめさせた話と失敗の話を足す。準備の方向がだいぶ変わりました。
永瀬
2社落ちた原因が話す順番にあるなら、直すのに時間はかかりません。その先の進み方に迷ったら、PMOのキャリアパスも見ておいてください。面接で話す将来像の材料になります。
よくある質問
PMOの面接ではどんな質問をされますか?
担当した案件の課題とその原因、自分が提案したことと決めた人、その結果の変化が中心です。加えて「PMOとは何だと思うか」という役割認識、志望動機、退職理由、うまくいかなかった案件の経験がよく聞かれます。
PMOの面接で落ちる理由は何ですか?
経験の不足より、話し方に原因があることが多くあります。企業からの見送り理由として繰り返し見るのは「話が長い」「結論が見えない」「本人の役割が分からなかった」の三つです。結論を一文、根拠を二つ、結果を一文の順で1分半に収めると改善します。
「将来はPMになりたい」と面接で話してもいいですか?
話して構いませんが、順番に注意してください。まず応募先のPMOとして何をするかを話し、その延長としてPMを語ります。PMになりたいという希望だけを先に話すと、早期に異動を希望する人だと受け取られます。
PMOの面接で逆質問は何を聞けばいいですか?
PMOの位置づけを聞いてください。誰に報告する立場か、PMOが進行を止めた例はあるか、募集の背景と前任者の業務、入社後3か月で期待されることの四つです。評価が上がるだけでなく、入社後の権限の実態を確かめられます。
PMOの面接に資格は必要ですか?
必須ではありません。PMPなどの資格は知識の証明として書類選考で役立つことはありますが、面接で確かめられるのは現場で何を動かしたかです。資格の説明より、実績を1分半で話す練習に時間を使ってください。
この記事は、PM・PdM・企画職専門の転職支援「ネコノテキャリア」と副業・業務委託の案件紹介「ネコノテエキスパート」を運営する株式会社スナネコが、実務知見に基づいて制作しています。