プロダクトマネージャー(PdM)の職務経歴書|書き方と例文、施策の羅列で落ちる理由

プロダクトマネージャー(PdM)の職務経歴書の書き方を、求人538件の集計をもとに解説します。施策の羅列が評価されない理由、課題と判断と成果で書く実績の例文、数字がないときの書き方まで対話形式で整理します。

この記事でわかること

  • PdMの求人は60%がロードマップ、49%がKPIや指標に触れ、PjMの求人とは求める経験が違う
  • 実績は課題、判断、成果の三段で書き、何を作らないと決めたかとその理由を必ず入れる
  • 担当プロダクトの概要と決定権の範囲を書いたうえで、応募先に合わせて実績の並び順を変える

どろん先輩

PM・企画職専門の転職エージェント「ネコノテキャリア」の中の人。オブラートに包まない物言いが持ち味で、相場も裏事情も聞かれれば正直に話す。少し口が悪い。

はじめ

SaaS企業でPdM3年目。別の会社のPdM職に応募しようと職務経歴書を書いたが、リリースした機能を並べただけの書類になってしまった。

目次
  1. PdMの職務経歴書が、機能の一覧になってしまうのはなぜか
  2. 書類を読む側は、あなたのプロダクトを知らない
  3. 実績は、課題と判断と成果の三段で書く
  4. 成果の数字がないとき、数字が悪かったとき
  5. 応募先によって、上に置く実績を入れ替える
  6. 参考データと出典
  7. よくある質問

プロダクトマネージャーの職務経歴書を書き始めると、多くの人が同じところで手が止まる。担当した機能を時系列に並べれば、それなりの分量にはなる。ところが読み返すと、同じチームの誰が書いても変わらない内容に見える。

PdMの書類を読む側が探しているのは、作った機能の数ではない。どの課題を選び、何を作らないと決め、その結果をどの指標で確かめたかである。求人データベースの集計と、面談で書類を直してきた経験をもとに、施策の一覧を判断の記録に書き換える手順を整理する。

PdMの職務経歴書が、機能の一覧になってしまうのはなぜか

はじめ(SaaS企業でPdM3年目)

別の会社のPdM職に応募しようと思って、職務経歴書を書いてみました。担当してきた検索機能と通知機能の改善を、リリースした順に並べています。A4で2枚になりました。

どろん先輩(PM専門エージェント)

見せてください。……はっきり言いますね。これはPdMの職務経歴書ではなく、リリースノートです。

はじめ

リリースノート、ですか。全部、私が企画から関わった機能なんですが。

どろん先輩

関わったのは分かります。でも、この書き方だと、同じチームのエンジニアやデザイナーが書いても中身が変わらない。読む側はあなたが何を決めたのかを知りたいのに、それがどこにも書いていないんです。

はじめ

決めたこと……。要件を決めたのは私です。

どろん先輩

要件より前の話です。数ある課題の中から、なぜ検索を選んだのか。ほかに案はあったのか。何を見送ったのか。PdMの書類で読まれるのはそこです。

はじめ

でも、求人票にはそんなこと書いていないですよね。「プロダクト開発の経験」くらいで。

どろん先輩

書いてありますよ。言葉を変えて。当社の求人データベースで、タイトルにプロダクトマネージャーかPdMを含む正社員の求人538件を数えました。本文に「ロードマップ」が出てくる求人が60%、「KPI」「指標」「数値」のどれかが出てくる求人が49%、ユーザーへのインタビューやヒアリングに触れた求人が36%です。

はじめ

半分近くが、数字の話をしているんですね。

どろん先輩

比べるために、プロジェクトマネージャーの求人600件でも同じ語を数えました。

本文に出てくる語PdMの求人(538件)プロジェクトマネージャーの求人(600件)
ロードマップ60%8%
KPI、指標、数値49%13%
SQL、データ分析45%23%
ユーザーへのインタビュー、ヒアリング36%4%

はじめ

プロジェクトマネージャーの求人とは、使っている言葉がまるで違います。

どろん先輩

そうです。PdMの職務経歴書は、ロードマップの中で何を選び、どの指標で確かめたかを書く書類で、作った機能の一覧ではありません。納期どおりに進めた話を中心に書く書類なら、プロジェクトマネージャーの職務経歴書の書き方になります。

はじめ

私の書類は、どちらかというとそっちに寄っていたかもしれません。

書類を読む側は、あなたのプロダクトを知らない

はじめ

選んだ理由まで書くとなると、かなり長くなりそうです。どういう順番で書けばいいですか。

どろん先輩

項目は普通の職務経歴書とほとんど変わりません。一つだけ、PdMには足してほしい欄があります。担当プロダクトの説明です。

項目書く内容PdMで気をつけること
職務要約経歴の全体を5〜7行で担当したプロダクトの種類と、自分が持っていた決定権の範囲を入れる
担当プロダクトの概要誰に何を提供しているか、事業の稼ぎ方、利用規模、チーム体制社外の人が読んで状況を想像できる情報にする
実績課題、判断、成果の三段一つの実績に一つの判断を書く
活かせる経験とスキル分析、調査、開発チームとの協働など求人票の言葉と対応させる
自己PR再現できる強みを一つ実績の欄と同じ話を繰り返さない

はじめ

プロダクトの説明は、会社名を書けば伝わると思っていました。

どろん先輩

伝わりません。採用担当がその会社を知っていても、あなたが担当した画面までは知らない。法人向けか個人向けか、月額課金か成果報酬か、利用している会社や人はどのくらいか、開発は何人のチームか。担当プロダクトの説明がないと、実績の数字が大きいのか小さいのか、読む側は判断できません。

はじめ

利用社数を書いていいものか迷います。社外秘なので。

どろん先輩

公開されている範囲で十分です。会社が発表している数字を書くか、「数百社規模」くらいの幅で書く。社内の数字をそのまま書く必要はありません。

はじめ

決定権の範囲というのは、何のことですか。

どろん先輩

あなたが一人で決められたことと、決められなかったことです。優先順位をあなたが決めていたのか、事業責任者が決めてあなたが中身を詰めていたのか。同じPdMという肩書きでも、ここが会社によってまるで違う。面接官はそこを最初に確かめます。

はじめ

正直に言うと、四半期の大きな方針は事業責任者が決めていて、私はその範囲で何を作るかを決めていました。

どろん先輩

それでいいんです。そのまま書いてください。決定権を盛って書くと、面接で一つ質問されただけで崩れます。もし要望を仕様に直すだけで何も決められない席だったなら、その事実のほうが転職の理由になる。見分け方はプロダクトマネージャーはやめとけと言われる理由に書きました。

実績は、課題と判断と成果の三段で書く

はじめ

実績の欄を書き直したいです。検索機能の改善を例にすると、どうなりますか。

どろん先輩

今の書き方はこうですね。

  • 検索機能の改善を担当。絞り込み条件の追加、検索条件の保存機能、並び替えの改善をリリース

どろん先輩

これを三段に分けます。架空の例ですが、形はこうなります。

段書く内容記載例
課題何が起きていて、なぜそれを選んだか解約した利用企業への聞き取り20件のうち、半数以上が「目的の求人に行き着かない」を理由に挙げた。問い合わせの分類でも検索に関するものが最も多かったため、新機能の追加より検索の改善を優先した
判断何をして、何をしなかったか検索条件の保存機能は要望が多かったが、そもそも条件を組み立てられない利用者が多いことが原因と考えて見送り、業種ごとに絞り込みの初期値を変える改修を先に出した
成果どの指標がどう動いたか検索結果から詳細画面へ進む割合が、3か月で12%から19%に上がった。翌四半期の解約理由で検索を挙げた企業は、前の四半期の半分以下になった

はじめ

「見送った」が入っているのが、私の書き方と全然違いますね。

どろん先輩

そこが一番読まれます。PdMの実績で評価されるのは、何を作ったかより、何を作らないと決めたかとその理由です。作った話は誰でも書ける。見送った話は、課題を自分で絞り込んだ人にしか書けない。

はじめ

見送った話を書くと、仕事をしなかったように見えませんか。

どろん先輩

PdMの選考では逆に読まれます。要望を全部作る人は、優先順位を決められない人に見える。開発の人数には限りがあるので、採用する側は「この人に任せたら、何を捨ててくれるか」を見ているんです。

はじめ

判断の理由を書くとき、私の感覚で決めた部分もあります。データが揃っていなかったので。

どろん先輩

それも書いていい。「利用データが少なかったため、聞き取りの結果を優先した」と書けば、不確かな状況で決めた経験になります。あとで判断が間違いだったと分かったなら、そこまで書く。直した経緯も含めて、判断の記録です。

成果の数字がないとき、数字が悪かったとき

はじめ

成果の数字がない実績もあります。リリースしたけれど、効果を測る前に担当を外れたものとか。

どろん先輩

よくある相談です。数字がないときは、見ようとしていた指標と、その指標を選んだ理由を書いてください。

はじめ

結果がないのに、指標だけを書くんですか。

どろん先輩

指標を選べることも力だからです。「継続率を上げる」としか言えない人と、「利用開始の週に3回以上ログインした企業は継続しやすいので、初週の利用回数を追った」と言える人とでは、評価がまるで違う。後者は、自分のプロダクトで何が効くかについて、仮説を持っています。

はじめ

数字が悪かった実績はどうでしょう。リリースしたのに、ほとんど使われなかった機能があります。

どろん先輩

全部を書類に書く必要はありません。ただ、一つ入れておくと面接で強くなる。使われなかった原因を何と見たか、次に何を変えたかまで書ければ、失敗はむしろ材料です。面接でどう聞かれるかはPdMの面接対策にまとめています。

はじめ

社内の数字を外に出せないときは、どう書けばいいですか。

どろん先輩

割合か倍率にしてください。金額は出せなくても、「前年同期の1.4倍」なら書けることがある。それも出せないなら、「改善の結果が翌期の重点施策に採用された」のように、社内でその結果がどう扱われたかを書く。数字の代わりに、組織の評価を示すわけです。

はじめ

数字がない実績ばかりになったらどうしよう、と思っていたので、少し安心しました。

どろん先輩

安心するのはまだ早い。指標を書くと、面接で「その指標はどうなったと思いますか」と必ず聞かれます。そこで答えられない指標は、書かないほうがいい。

応募先によって、上に置く実績を入れ替える

はじめ

書ける実績が5つくらいあります。全部同じ分量で書いたほうがいいですか。

どろん先輩

応募先ごとに、詳しく書く実績を二つに絞ってください。書類で落ちる人を見ていると、経験が足りないというより、応募先の欲しい経験と違う実績が一番上に来ていることがよくあります。

はじめ

応募先の欲しい経験は、どうやって見分けるんですか。

どろん先輩

会社の段階でだいたい決まります。

応募先の状況欲しがる経験上に置く実績
立ち上げ期で、利用者がまだ少ない何を作るかを顧客の声から決めた経験聞き取りから課題を絞り込み、最初の機能を決めた話
利用者が増え、改善を重ねる時期指標を決めて改善を回した経験指標の選び方と、数字が動いた施策
複数のプロダクトを持つ大きな組織関係部署と優先順位をそろえた経験営業や経営の要望に順位をつけ、合意を取った話

はじめ

私の経験は真ん中ですね。立ち上げ期の会社に出すなら、聞き取りの話を上に持ってくる。

どろん先輩

そうです。求人票の言葉と自分の実績の言葉を並べて、照らし合わせるのが早い。求人票に「ロードマップの策定」とあれば、ロードマップを自分で引いた経験を上に置く。「ユーザーインタビュー」とあれば、聞き取りから課題を決めた話を上に置く。

はじめ

応募先ごとに、職務経歴書を作り直すんですか。

どろん先輩

そこまではしなくていい。応募先ごとに変えるのは、職務要約の最後の一文と実績の並び順だけで足ります。それだけで、書類の印象は別物になります。

はじめ

職務要約の書き方も見てみたいです。

どろん先輩

架空ですが、あなたの経歴ならこう書けます。

(職務要約の記載例)法人向け採用管理サービスで、検索と通知の領域を担当するプロダクトマネージャーとして3年勤務。四半期の方針は事業責任者が定め、その範囲での開発項目の選定、優先順位の決定、要件の作成を担当。解約企業への聞き取りと利用データの分析から検索の改善を優先し、検索結果から詳細画面へ進む割合を12%から19%に改善。エンジニア6名、デザイナー1名のチームで、2週間ごとの開発サイクルを運営。

はじめ

「事業責任者が定め、その範囲で」と、決定権の範囲から書き始めるんですね。

どろん先輩

面接官が知りたいことに、最初の5行で答えておく。そうすると、その後の実績を正しい大きさで読んでもらえます。プロジェクトマネージャーからPdMを目指す人の書き方は、PjMからPdMへの転職で別にまとめました。

はじめ

検索の実績を三段に書き直して、見送った保存機能の話を入れてみます。

どろん先輩

見送った理由を自分の言葉で書けたら、その書類はもうリリースノートには見えません。

参考データと出典

本文の割合は、当社の求人データベースで、求人の本文に語が出てくる件数を数えたものです。必須の要件か、歓迎する要件かは区別していません。

データ数字時点、条件
ネコノテキャリア求人データベース(PdMの求人に出てくる語)ロードマップ 322件(60%)、KPI、指標、数値のいずれか 263件(49%)、SQL、データ分析のいずれか 241件(45%)、ユーザーへのインタビュー、ヒアリング 191件(36%)2026年10月時点。タイトルにプロダクトマネージャー、プロダクトマネジャー、PdMのいずれかを含む有効な正社員求人538件の本文を集計。同じ企業が拠点別、等級別に出した求人を別件として数えている
ネコノテキャリア求人データベース(プロジェクトマネージャーの求人に出てくる語)ロードマップ 46件(8%)、KPI、指標、数値のいずれか 80件(13%)、SQL、データ分析のいずれか 135件(23%)、ユーザーへのインタビュー、ヒアリング 25件(4%)2026年10月時点。タイトルにプロジェクトマネージャー、プロジェクトマネジャー、PjMのいずれかを含み、PMOを含まない有効な正社員求人600件の本文を集計。数え方は上と同じ

職務要約と実績の記載例は、説明のために作った架空の例です。応募先の段階による実績の選び方は、当社が面談で書類を直してきた経験から整理した傾向で、統計ではありません。

よくある質問

プロダクトマネージャーの職務経歴書には何を書けばいいですか?

職務要約、担当プロダクトの概要、実績、活かせる経験とスキル、自己PRの5つです。PdMの場合は、誰に何を提供しているか、事業の稼ぎ方、利用規模、チーム体制を書いた担当プロダクトの概要を必ず入れてください。実績は課題、判断、成果の三段で書きます。

PdMの実績は、リリースした機能を並べればいいですか?

並べるだけでは評価されにくくなります。読む側が知りたいのは、なぜその課題を選び、何を作らないと決め、どの指標で結果を確かめたかです。見送った施策とその理由を書くと、優先順位を決められる人だと伝わります。

成果の数字がない実績はどう書けばいいですか?

追おうとしていた指標と、その指標を選んだ理由を書いてください。数字を社外に出せない場合は、割合や倍率で書くか、社内でその結果がどう扱われたかを書きます。面接で指標の行方を聞かれるので、答えられる指標だけを書いてください。

PdMとしての決定権が小さかった場合はどう書けばいいですか?

一人で決められたことと、決められなかったことを、そのまま書いてください。決定権を大きく書くと、面接の質問で食い違いが出ます。限られた範囲の中で何を選んだかを書けば、判断の経験として読まれます。

職務経歴書は応募先ごとに書き直すべきですか?

全部を書き直す必要はありません。職務要約の最後の一文と、実績の並び順を応募先に合わせて変えてください。立ち上げ期の会社には顧客の声から作るものを決めた実績を、改善を重ねる時期の会社には指標を決めて改善した実績を上に置きます。

この記事は、PM・PdM・企画職専門の転職支援「ネコノテキャリア」と業務委託の案件紹介「ネコノテエキスパート」を運営する株式会社スナネコが、実務知見に基づいて制作しています。

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