プロダクトマネージャーはやめとけ?|名ばかりPdMの見分け方と、続ける価値のある席の条件

プロダクトマネージャーはやめとけと言われる理由を、PdMの置かれ方の違いから整理します。求人485件の年収データ、名ばかりの席を見分ける面接での質問、続けるか出るかの判断基準を対話形式で解説します。

この記事でわかること

  • やめとけの声が集まるのは、肩書きはPdMでも仕様作成と進行管理だけを担う席で、職種そのものではない
  • PdM求人は上限1,000万円以上が76%だが、進行管理中心で過ごした年数はPdM経験として数えられにくい
  • 利用データと顧客に直接触れられるか、止めた機能があるかを面接で聞けば、名ばかりの席は入る前に見分けられる

永瀬

PM・企画職専門の転職エージェント「ネコノテキャリア」の中の人。オブラートに包まない物言いが持ち味で、相場も裏事情も聞かれれば正直に話す。少し口が悪い。

ふたば

エンジニアから転向したSaaS企業のPdM2年目。営業と経営の要望を仕様に直して開発に渡す毎日で、このまま続けて評価される経験が積めるのか迷っている。

目次
  1. プロダクトマネージャーが「やめとけ」と言われるのは、どんな席か
  2. 求人の76%が上限1,000万円を超えるのに、やめとけと言われる理由
  3. 権限がないのに責任を負う構造は、どこから来るのか
  4. 名ばかりの席を、入る前に見分ける質問
  5. すでにPdMで、続けるか迷っている場合
  6. 参考データと出典
  7. よくある質問

プロダクトマネージャーの求人には、年収1,000万円を超える提示が並んでいる。一方で「プロダクトマネージャー やめとけ」と検索すると、何でも屋になる、権限がないのに責任だけ負う、成果が見えない、という声が出てくる。高く買われている職種が、同時にやめとけと言われている。

この二つは矛盾していない。高い値段がついているのはプロダクトマネージャー(PdM)という肩書きではなく、その中の一部の経験であり、やめとけと言われているのは残りの部分だからである。

プロダクトマネージャーが「やめとけ」と言われるのは、どんな席か

ふたば(エンジニアから転向したSaaS企業のPdM2年目)

エンジニアからPdMに転向して2年になります。毎日やっているのは、営業と経営から来る要望を仕様に直して、開発に渡すことです。「PdMはやめとけ」という記事を読んで、頷いてしまいました。

永瀬(PM・企画職専門のエージェント)

記事のどこに頷いたのか、聞かせてください。

ふたば

何を作るかを決める仕事だと聞いて転向したのに、決めているのは自分ではない、というところです。リリースが遅れたときだけ、責任者として呼ばれます。

永瀬

その状態の人は、面談で本当によく会います。先に事実を言っておくと、PdMという肩書きの中身は会社ごとにまるで違います。私は三つに分けて見ています。

置かれ方実際にやっていること決めている人
意思決定型何を作り、何を作らないかを決め、事業の数字に責任を持つPdM本人
とりまとめ型営業、顧客、経営の要望を集め、優先順位の案を作る事業部長や経営会議
進行管理型決まった機能の仕様を書き、開発の進み具合を追う営業や経営。PdMは通す役

ふたば

私は三つめです。たまに二つめの仕事が混ざります。

永瀬

やめとけという声が集まっているのは、ほぼ三つめの席です。肩書きはPdMで、仕事は開発ディレクションに近い。それでいて、プロダクトの数字が悪いと名前が挙がる。

ふたば

会社がPdMの役割を分かっていない、ということでしょうか。

永瀬

分かっていない場合もありますが、多いのは別の事情です。創業者や事業部長がプロダクトの方針を自分で握っていて、手を動かす人が足りなくなったのでPdMを置いた。この経緯で作られた席では、決める権限は初めから渡されていません。本人の力不足ではなく、席の設計の問題です。

求人の76%が上限1,000万円を超えるのに、やめとけと言われる理由

ふたば

求人の年収を見ると、PdMは高いですよね。それも転向した理由の一つでした。

永瀬

高いのは事実です。当社の求人データベースで、タイトルにプロダクトマネージャーかPdMを含む正社員求人は485件あり、提示年収の下限の中央値は700万円、上限の中央値は1,200万円でした。上限が1,000万円以上の求人は76%です。

求人の区分件数下限の中央値上限の中央値上限1,000万円以上の割合
プロダクトマネージャー全体485件700万円1,200万円76%
経験年数の条件が2年以下62件627万円1,025万円71%
経験年数の条件が5年以上56件800万円1,400万円89%
参考:プロジェクトマネージャー求人573件600万円1,000万円60%

ふたば

プロジェクトマネージャーより、下限で100万円、上限で200万円高い。

永瀬

ここで読み違える人が多いのですが、この金額はPdMを何年やったかに払われるものではありません。面接で確かめられるのは、自分で決めたことがあるかどうかです。

ふたば

具体的には、何を聞かれるのですか。

永瀬

「作らないと決めた機能はありますか。なぜやめましたか」。もう一つは「その判断のあと、どの数字がどう動きましたか」。この二つに答えられる人に、上のレンジの金額がつきます。

ふたば

私は、どちらも答えられません。要望を断ったことがないので。

永瀬

進行管理型の席で過ごした年数は、PdMの求人市場ではPdM経験として数えられにくい。これが、高年収の職種なのにやめとけと言われる理由です。肩書きを信じて3年過ごし、転職しようとして初めて、自分の経験に値段がつかないと知る。その人が書く言葉が「やめとけ」になります。

ふたば

肩書きがあるぶん、気づくのが遅れるんですね。

永瀬

エンジニアからの転向だと、もう一つ失うものがあります。実装から離れた2年、3年のあいだに、エンジニアとしての評価も下がっていく。どちらの市場でも中途半端な位置に立つことになります。

権限がないのに責任を負う構造は、どこから来るのか

ふたば

権限のない責任という話は、プロジェクトマネージャーでも聞きます。PdMは何が違うのでしょう。

永瀬

プロジェクトマネージャーの責任は納期と予算で、対象がはっきりしています。PdMが負わされるのは、売上や解約率のような事業の結果です。ところが、その結果を左右する手段のほとんどはPdMの手の中にありません。

ふたば

価格も、営業のやり方も、開発の人数も、決めるのは別の人です。

永瀬

それがPdMという仕事の前提で、権限をくださいと言っても解決しません。意思決定型の席にいる人も、人事権や予算権は持っていないことが多い。違いは、優先順位を決める場に根拠を持ち込めるかどうかです。

ふたば

根拠、というのは。

永瀬

利用状況のデータと、顧客に直接聞いた話です。営業が「大口のお客様が欲しがっています」と言ったとき、その機能を使う顧客が全体の何割で、作らなかった場合に失う売上がいくらかを出せる人は、決定をひっくり返せます。出せない人は、声の大きい順に作ることになります。

ふたば

データを見る権限すら、今の会社では申請が要ります。

永瀬

それは席を見分ける重要な材料です。PdMが利用データと顧客に直接触れられない会社では、どれだけ優秀でも進行管理型から出られません。判断の材料がないのだから、決める側に回りようがない。

名ばかりの席を、入る前に見分ける質問

ふたば

次に移るとしたら、同じ席を引きたくありません。見分ける方法はありますか。

永瀬

面接で聞くことを四つ挙げます。

  • ロードマップは誰が決めているか(会議の名前と、最後に決める人の役職まで聞く)
  • この半年で、PdMの判断で止めた機能や見送った要望はあるか
  • PdMは利用データを自分で見られるか、顧客との面談に同席できるか
  • PdMが報告する相手は誰か(プロダクトの責任者か、開発部長か、営業の責任者か)

ふたば

二つめは、聞きにくい質問ですね。

永瀬

聞きにくいですが、いちばん差が出ます。意思決定型の会社は、止めた例をすぐに挙げます。進行管理型の会社は答えに詰まるか、「お客様の要望には基本的にお応えしています」と返します。

ふたば

四つめの、報告する相手で何が分かるのですか。

永瀬

営業の責任者の下にいるPdMは、受注のための機能開発が仕事になります。開発部長の下なら、開発の進行管理が中心になりやすい。プロダクトの責任者や事業責任者の直下で、その人自身がPdMの経験者なら、決める仕事が回ってくる可能性が高い。

ふたば

求人票の段階では、分からないものですか。

永瀬

手がかりはあります。仕事内容が「仕様策定」「開発チームとの調整」「進捗管理」で埋まっていて、指標や顧客という言葉が出てこない求人は、進行管理型だと考えてください。面接での答え方はPdMの面接対策にまとめています。

すでにPdMで、続けるか迷っている場合

ふたば

私自身は、今の席を出るべきでしょうか。

永瀬

出る前に、一つ試してほしいことがあります。数字を一つ、自分のものにすることです。新機能の利用率でも、初回設定の完了率でも、小さい指標で構いません。現状を測り、仮説を立て、改善の案を出す。頼まれていなくても、です。

ふたば

通るとは限りません。

永瀬

通らなくても意味があります。データを見せてもらえるか、提案を聞く場があるか、で今の席の種類がはっきりする。半年続けて何も動かなければ、そこは進行管理型から変わらない席です。動けば、面接で話せる経験が一つできます。

ふたば

出る場合は、どこへ行くことになりますか。

永瀬

行き先は三つあります。意思決定型の席がある別の会社のPdM。進行管理が得意なら、プロジェクトマネージャーへ軸を戻す道。事業の数字に興味があるなら、事業企画や事業開発です。

ふたば

プロジェクトマネージャーに戻るのは、後退のように感じます。

永瀬

後退ではありません。進行管理型のPdMとして評価されない仕事を続けるより、進行管理そのものに値段がつく職種で実績を積むほうが、市場での評価は上がります。ただし、そちらにも外れの席はあります。プロジェクトマネージャーはやめとけと言われる理由に条件を書きました。

ふたば

やめるかどうかを、職種で考えていたのが間違いだったようです。

永瀬

見るべきは職種ではなく席です。何を作らないかを決められて、データと顧客に触れられて、決めた結果が数字で返ってくる。その席であれば、私はPdMをやめとけとは言いません。

参考データと出典

プロダクトマネージャーを単独の区分として扱う公開統計はほとんどなく、ここでは求人の提示レンジを主なデータにしています。

データ数字時点・条件
ネコノテキャリア求人データベース(プロダクトマネージャー)正社員求人485件(251社)。提示年収の下限中央値700万円、上限中央値1,200万円、上限1,000万円以上は76%。経験年数の条件が2年以下の62件は下限627万円、上限1,025万円。5年以上の56件は下限800万円、上限1,400万円2026年10月時点。タイトルに「プロダクトマネージャー」「PdM」を含む有効な正社員求人のうち、年収表記のあるもの。提示レンジの中央値で内定時の実額ではない。同じ企業が等級別や事業別に出した求人を別件として数えているため、採用に積極的な企業の水準に寄る
ネコノテキャリア求人データベース(プロジェクトマネージャー)正社員求人573件。下限中央値600万円、上限中央値1,000万円、上限1,000万円以上は60%2026年10月時点。タイトルに「プロジェクトマネージャー」「PjM」を含み「PMO」を含まない求人。条件は上と同じ
doda 平均年収ランキング(2025年)プロジェクトマネジャー 707万円2024年9月〜2025年8月にdodaへ登録した正社員約60万件の申告年収の平均。プロダクトマネージャー単体の区分はない

置かれ方の三分類と面接での質問は、当社が面談と求人の依頼内容から整理した傾向で、統計ではありません。

よくある質問

プロダクトマネージャーはやめたほうがいい職種ですか?

職種として避ける理由はありません。避けたほうがいいのは、肩書きはプロダクトマネージャーでも、決まった機能の仕様を書いて開発の進み具合を追うだけの席です。何を作らないかを自分で決められる席では、評価される経験が積めます。

プロダクトマネージャーがきついと言われるのはなぜですか?

売上や解約率といった事業の結果に責任を問われる一方で、価格、営業、開発体制など結果を左右する手段の多くを自分では決められないためです。利用データと顧客の声を根拠として持ち込めるかどうかで、負担の大きさが変わります。

プロダクトマネージャーの年収は高いですか?

当社求人データベースの正社員求人485件では、下限中央値700万円、上限中央値1,200万円で、上限1,000万円以上が76%でした(2026年10月時点、提示レンジの中央値で内定時の実額ではない)。ただしこの金額は、自分で判断し数字を動かした経験に対して提示されます。

名ばかりのプロダクトマネージャー求人は、どう見分けますか?

面接で、ロードマップを誰が決めているか、この半年でPdMの判断で止めた機能があるか、利用データと顧客に直接触れられるか、報告する相手は誰かを聞いてください。止めた例が出てこない会社は、進行管理が中心の席である可能性が高くなります。

エンジニアからプロダクトマネージャーに転向して後悔することはありますか?

進行管理が中心の席に入ると、プロダクトマネージャーとしての評価が積めないまま、実装から離れた期間だけが延びます。転向する前に、その会社のPdMが何を決めているかを確かめることで避けられます。

この記事は、PM・PdM・企画職専門の転職支援「ネコノテキャリア」と業務委託の案件紹介「ネコノテエキスパート」を運営する株式会社スナネコが、実務知見に基づいて制作しています。

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