業務委託の損害賠償の上限|準委任のPM・PMOが契約書で確かめる4つの点と、上限を付けてもらう頼み方

業務委託の損害賠償の上限を確かめたいPM・PMO向けに、民法が定める範囲、契約書で確かめる上限・損害の範囲・請求期間・故意重過失の4つの点、更新契約での基準額の読み方、上限を付けてもらう頼み方を解説します。

この記事でわかること

  • 民法の条文に損害賠償の金額の上限の定めは無く、編集部の読み方では、上限を付けたいなら契約書の条項に書いておくことになる
  • 上限の有無と基準額、損害の範囲、請求できる期間、故意・重大な過失の扱いの4つを署名の前に確かめる
  • 3か月更新の契約では、上限の基準額がどの契約のどの期間の委託料かを聞き、答えを文面で残す

どろん先輩

PM・企画職専門の転職エージェント「ネコノテキャリア」の中の人。オブラートに包まない物言いが持ち味で、相場も裏事情も聞かれれば正直に話す。少し口が悪い。

はじめ

SIerでPMを12年務めて独立し、3年目のフリーランスPM。エージェント経由で、物流会社の基幹システム刷新のPMを準委任の3か月更新で担ってきた。次の案件の契約書のひな形を受け取り、損害賠償の条項に上限が書かれていないことに気づいた。

目次
  1. 業務委託の損害賠償の上限は、民法の条文に無く、契約書の条項で決める
  2. 準委任のPM・PMOの損害賠償は、注意を尽くしたかで問われる
  3. 業務委託の損害賠償の条項で確かめる4つの点
  4. 3か月更新の契約では、損害賠償の上限の基準額を読み分ける
  5. 損害賠償の上限を付けてもらう頼み方と、断られたときの手
  6. 参考データと出典
  7. よくある質問

業務委託の損害賠償の上限について、先に答えを書いておく。民法第416条は債務不履行の賠償の範囲(通常生ずべき損害と、予見すべきであった特別の事情による損害)を定めているが、金額の上限を定めた条文は無い。編集部の読み方では、金額の上限を決めておけるのは契約書の条項だ。準委任のPM・PMOが署名の前に確かめるのは、上限の有無と基準額、損害の範囲、請求できる期間、故意・重大な過失の扱いの4つの点。上限が無ければ、故意・重大な過失を除く形で上限を付けてもらうよう頼み、通らなければ損害の範囲・請求できる期間・業務の内容の書き方で調整する。

業務委託の損害賠償の上限は、民法の条文に無く、契約書の条項で決める

はじめ(独立して3年目のフリーランスPM)

次の案件の契約書のひな形が届きました。損害賠償の条項は「乙の責めに帰すべき事由により甲に損害を与えたときは、乙はその損害を賠償する」の一文だけで、上限がどこにも書かれていません。これは、上限が無いということですか。

どろん先輩(PM・企画職専門のエージェント)

その一文だけなら、金額の上限は書かれていません。民法の第416条は、賠償するのは通常生ずべき損害で、特別の事情による損害も当事者が予見すべきであったときは請求できる、と範囲を決めています。ただ、金額の天井を決めた条文はありません。業務委託の損害賠償に金額の上限を付けたいなら、契約書の条項に書いておく、というのが編集部の読み方です。

はじめ

上限が無いと、たとえば自分の判断のせいでシステムの稼働が遅れたら、何千万円も請求されることがあるんですか。

どろん先輩

条文の上では、範囲の中にある損害なら、額に天井は無いことになります。実際にいくらになるかは、何が債務の不履行に当たるか、発注者側に過失がなかったか(第418条の過失相殺)でも変わるので、条文だけでは決まりません。怖がって署名を延ばすより、条項のどこに何が書かれていないかを確かめて、足りないところを頼むほうが先です。

はじめ

でも、上限を付けてほしいと言ったら、責任を負う気がない人だと思われませんか。

どろん先輩

上限を置くこと自体は、公的なひな形にもある形です。IPA(情報処理推進機構)が公表している「情報システム・モデル取引・契約書」の第53条は、損害賠償の累計総額を「帰責事由の原因となった個別契約に定める○○○の金額を限度とする」と置いています。ユーザ企業とベンダ企業のシステム開発のひな形で、個人のPMの準委任のひな形ではありませんし、○○○は空欄で、どの額にするかまで勧めているわけでもありません。それでも、上限を置く形が公的なひな形にあることは、頼むときの足場になります。

はじめ

確かめる4つの点というのは、何ですか。

どろん先輩

上限の有無と基準額、損害の範囲、請求できる期間、故意・重大な過失の扱いです。ただ、どの点が自分に効くかは、PMやPMOがどんな場面で賠償を求められうるかを押さえてからのほうが読みやすくなります。

準委任のPM・PMOの損害賠償は、注意を尽くしたかで問われる

はじめ

PMの仕事は、成果物を納めるわけではありませんよね。何をしくじったら賠償の話になるんですか。

どろん先輩

準委任なら、民法第656条で委任の規定が準用され、第644条の「善良な管理者の注意をもって」事務を処理する義務を負います。請負(第632条)のように仕事の完成を約束するのとは違います。ここからは統計ではなく編集部の見立てですが、PM・PMOの賠償が問題になるとしたら、システムの欠陥そのものより、立場にふさわしい注意を尽くしたかという形で問われることが考えられます。

はじめ

注意を尽くしたか、というのは、具体的にどんな場面ですか。

どろん先輩

架空の例で挙げます。右の列は、問われたときに自分の側の説明に使える材料です。

場面(架空の例)問われうること(編集部の見立て)説明に使える材料
ベンダーの遅れを把握していたのに、週次の報告に載せなかった報告すべきことを報告したか報告の記録と、報告先・頻度を決めた文面
移行の判定会議で、残っていた課題を伝えずに「問題なし」とした判断に必要な情報を出したか判定の資料と、決めた人の記録
発注者の部長が、リスクの指摘を受けたうえで本番の日程を決めた決めたのは誰か指摘した日付と文面、決定の議事録
契約にない開発作業を頼まれ、自分で手を動かした引き受けた範囲が契約の業務の内容を超えていないか業務の内容の記載と、追加の依頼を受けたときの文面

はじめ

3行目は、日程を決めたのは発注者ですよね。それでもPMの責任になるんですか。

どろん先輩

決めたのが発注者なら、そこは第418条の過失相殺で考慮されうる部分です。ただ、それも指摘していたことを示せればの話です。準委任のPM・PMOにとっては、上限の条項と同じくらい、業務の内容の記載と判断の記録が、賠償を求められたときの説明の土台になると編集部は考えています。業務の内容の書き方は、業務委託の炎上案件の見分け方の記事に、通常の推進と立て直しを比べた架空の記入例を載せています。

はじめ

4行目のように、頼まれて契約外の作業をしたときも危ないんですか。

どろん先輩

編集部の見立てでは、契約の業務の内容に無い作業でミスが出ると、何を約束していたのかという争いから始まりやすいと考えています。追加を頼まれたら、引き受ける前に範囲と報酬を文面で取り決めておくほうが、自分を守りやすくなります。

はじめ

請負で、設計書のような成果物を納める契約もあります。そのときは違うんですか。

どろん先輩

請負なら、完成させた成果物が契約の内容に合っているかも問われます。PMの業務委託が準委任と請負のどちらになるかは、PMの業務委託とはの記事で、契約前に確かめる7項目と一緒に説明しています。編集部の見立てでは、損害賠償の条項の読み方はどちらの契約でも同じ4つの点でできますが、請負なら契約不適合責任の条項(期間・範囲)も合わせて見てください。

業務委託の損害賠償の条項で確かめる4つの点

はじめ

4つの点を、契約書のどこを見ればいいかと一緒に教えてください。

どろん先輩

損害賠償の条項を開いて、次の表の左の列に一つずつ丸を付けてください。真ん中と右の書き方は架空の例です。

確かめる点上限が無い書き方(架空の例)上限を付けた書き方(架空の例)確かめること
①上限の有無と基準額乙は、甲に与えた損害を賠償する賠償の累計総額は、帰責事由の原因となった個別契約の委託料の額を限度とする上限があるか。あるなら基準額がどの契約のどの期間の額か
②損害の範囲範囲の記載なし直接かつ現実に生じた通常の損害に限り、逸失利益を含まない発注者が得られたはずの利益まで対象になるか
③請求できる期間期間の記載なし個別契約の業務の終了確認日から○か月を過ぎたあとは請求できない契約が終わってから、いつまで請求されうるか
④故意・重大な過失の扱い記載なし前項の上限は、故意または重大な過失による場合には適用しない上限が外れる場合が、故意・重大な過失に限られているか

はじめ

②の逸失利益というのは、どんな損害ですか。

どろん先輩

発注者が得られたはずの利益です。たとえば稼働が遅れて、見込んでいた売上が立たなかった分のようなものです。上限の額があっても、どの損害が対象になるかが広ければ、上限いっぱいまで請求される場面が増えます。IPAのモデル契約の解説も、範囲を制限するなら「直接の結果として現実に被った通常の損害」に限る規定が考えられる、と書いています。

はじめ

④を読むと、上限を付けても外れる場合があるんですね。どういうときですか。

どろん先輩

IPAのモデル契約の第53条第3項は、故意または重大な過失に基づく場合には上限を適用しない、としています。解説には、故意による場合は判例で責任を制限する条項は無効と考えられていて、重過失の場合も同様に無効とするのが支配的な考え方だ、とあります。上限を付けても、故意や重大な過失による損害まで守られるとは考えないでください。

はじめ

重大な過失というのは、どのくらいのことを言うんですか。

どろん先輩

IPAの解説は、意味について統一的な理解があるわけではない、と書いたうえで、ほとんど故意に近い著しい注意の欠如とする考え方と、注意義務違反の程度が著しい場合とする考え方を紹介しています。システム開発で重過失が認められた例として、SQLインジェクションの対策を講じなかったために個人情報が流出した事案(東京地裁平成26年1月23日判決)が挙がっています。PMの判断の誤りが重過失に当たるかは事案ごとなので、ここは専門家に聞く領域です。

はじめ

除外の書き方で、ほかに気をつけることはありますか。

どろん先輩

編集部の見立てでは、受託する側が見ておきたいのは、外れる場合が故意・重大な過失に限られているかどうかです。「乙の過失による場合は、前項を適用しない」のように過失全般が外されていると、上限が働く場面はほとんど残りません。③の請求できる期間は、IPAのモデル契約では業務の終了確認日などから○ヶ月、と空欄で置かれていて、何か月にするかは当事者で決める形です。

3か月更新の契約では、損害賠償の上限の基準額を読み分ける

はじめ

①の基準額に「委託料の額」と書いてあれば、月額のことだと考えていいですか。

どろん先輩

そこが、更新を重ねるPM・PMOの契約で読み違えやすいところだと編集部は見ています。同じ「委託料」でも、どの契約の、どの期間の額かで上限が変わるからです。架空の例で、月額○万円、3か月ごとの更新を重ねて1年たったところで比べます。

基準額の書き方(架空の例)上限になる額受託する側から見た読み方(編集部の見立て)
帰責事由の原因となった個別契約の委託料原因になった3か月の個別契約の委託料(月額○万円×3か月)更新ごとに個別契約を結ぶなら、上限は原因になった期間の分に収まる
本契約に基づき受領した委託料の累計1年分(月額○万円×12か月)。更新するほど増える長く続くほど上限が上がる
損害が生じた月の委託料1か月分上限は小さいが、発注者に受け入れてもらいにくいことがある
金額で書く(○万円を限度とする)書かれた金額分かりやすいが、更新で役割が広がっても変わらない

はじめ

2行目だと、長くいるほど背負う額が増えるんですね。どれを選べばいいんですか。

どろん先輩

どれが正解とは言えません。役割が広がって月額も上がった契約なら、1行目の書き方で上限も一緒に上がります。少なくとも署名する前に「この条項の委託料は、どの契約の、どの期間の額ですか」と聞いて、答えを文面で残してください。基本契約と個別契約に分かれている契約書なら、損害賠償の条項がどちらにあって、どちらの「委託料」を指すかも見ます。

はじめ

エージェント経由の案件だと、契約書の相手はエージェントです。発注者との間の上限は、どうなっているんですか。

どろん先輩

契約は二つに分かれています。発注者とエージェントの契約と、エージェントとあなたの契約です。編集部の見立てでは、上流の契約の条項は、受託する側からは見えないことが多いと考えています。あなたが賠償を求められるとしたら、根拠はあなたが署名する契約の条項なので、確かめて交渉する対象もそちらです。

はじめ

上流の契約に上限があれば、自分の契約にも同じ上限があると考えてはいけませんか。

どろん先輩

編集部の理解では、別の契約なので、自分の契約に書かれていなければ、自分の契約の上限にはなりません。上流に上限があるなら、同じ形を自分の契約にも入れてほしい、とエージェントに頼むのは筋の通った頼み方です。ファームやエージェントからの再委託で受ける立場そのものは、フリーコンサルが立つ再委託の立場の記事に書いています。

損害賠償の上限を付けてもらう頼み方と、断られたときの手

はじめ

実際に頼むとき、どう切り出せばいいですか。

どろん先輩

架空の文面の例です。契約書の案への返事として、相手方の担当者に送る想定です。

「契約書案を拝見しました。第○条(損害賠償)について、賠償の累計総額を、帰責事由の原因となった個別契約の委託料の額を限度とする一文を加えていただけないでしょうか。故意または重大な過失による場合は対象外とする形で構いません。準委任でPM業務をお受けする立場として、責任の範囲を契約の上で明らかにしておきたく、ご相談いたします。」(架空の文面の例)

はじめ

故意・重大な過失を除く、と自分から書くのはなぜですか。

どろん先輩

IPAの解説にあるとおり、故意・重大な過失まで上限で守ることは無効とされうる部分なので、最初から外しておくと、頼みの中身が「通常の過失の範囲で額を決めておきたい」に絞られます。IPAのモデル契約に近い形なので、発注者の法務も検討しやすいと編集部は見ています。

はじめ

それでも断られたら、どうしますか。

どろん先輩

上限そのものが通らなくても、残りの点で調整できます。

断られたときの手書き方の例(架空)効くところ
損害の範囲を絞る直接かつ現実に生じた通常の損害に限り、逸失利益を含まない発注者が得られたはずの利益まで対象になるのを避ける
請求できる期間を決める個別契約の業務の終了確認日から○か月契約が終わってから長く請求されうる状態を避ける
業務の内容を具体的に書く進捗と課題の管理、週次の報告、判定会議の資料づくり(開発作業は含まない)何をする約束だったかの争いを避ける
保険で備える(契約書の外)条項で守れない部分を補う。対象になる業務と補償の範囲は保険ごとに違うので、加入前に確かめる

はじめ

どれも通らなかったら、引き受けないほうがいいんですか。

どろん先輩

上限も範囲も期間も付かず、業務の内容もぼかしたまま、なら、編集部の見立てでは、条件の重さに対して月額が見合っているかを考え直す場面です。断ることも選べます。判断に迷う条項は、署名の前に弁護士などの専門家に見てもらってください。

はじめ

契約したあとで、発注者から「損害が出たから、今月の報酬から差し引く」と言われたらどうしますか。

どろん先輩

フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)のパンフレットでは、報酬の減額は「フリーランスに責任がないのに」業務委託のときに定めた報酬の額を後から減らして支払うことで、名目や方法にかかわらず禁止されています。対象は、従業員を使っている発注事業者が、従業員を使用しない事業者(フリーランス)に1か月以上の業務委託をした場合です。エージェントが単に仲介しているだけならエージェントはこの発注事業者に当たらず、再委託している場合は当たる、とパンフレットのQ&Aにあります。

ただ、あなたに責任があるかどうか自体が争いになる場面は、パンフレットの説明だけでは片づきません。差し引くと言われたら、その場で同意せず、根拠を文面でもらってから、フリーランス・トラブル110番(弁護士に相談できる窓口)か専門家に相談してください。

はじめ

次の案件の契約書は、まず何から見ればいいですか。

どろん先輩

損害賠償の条項を開いて、4つの点に丸を付けてください。上限が無ければ、さっきの文面で頼む。基準額があるなら、どの契約のどの期間の委託料かを聞いて文面で残す。上限が付くかどうかより先に、何が書かれていて何が書かれていないかを署名の前に知っておくことが、PMとして引き受ける範囲を自分で決める出発点です。

参考データと出典

条文と資料の中身は、編集部が2026年10月23日に資料を開いて確かめた。損害賠償の金額や件数の統計は使っていない。PM・PMOが賠償を問われうる場面、基準額の読み方、発注者・エージェントの動き方の説明は編集部の見立てで、統計ではない。表と文面の例は架空。自分の契約への当てはめは、弁護士などの専門家に相談してほしい。

データ本文で使った中身時点・条件
民法(明治29年法律第89号)e-Gov法令検索第415条(債務不履行による損害賠償)、第416条(損害賠償の範囲。通常生ずべき損害と、予見すべきであった特別の事情による損害)、第418条(過失相殺)、第632条(請負)、第644条(受任者の善管注意義務)、第656条(準委任への準用)2026年10月23日に確認した現行の条文。金額の上限を定めた条文は無い。個別の契約にどう当てはまるかは専門家に相談
情報処理推進機構(IPA)「情報システム・モデル取引・契約書(受託開発(一部企画を含む)、保守運用)〈第二版〉」第53条(損害賠償): 累計総額を原因となった個別契約に定める金額を限度とする(金額は空欄)、故意または重大な過失のときは上限を適用しない、請求できる期間(空欄)。解説: 範囲を通常の損害に限る規定の考え方、故意・重過失の責任制限は無効とする考え方、重過失の考え方と裁判例2020年12月22日公表、契約書本体は2025年4月8日更新。ユーザ企業とベンダ企業のソフトウェア開発委託のひな形で、個人のPM・PMOの準委任のひな形ではない
公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「ここからはじめる フリーランス・事業者間取引適正化等法」パンフレット報酬の減額の禁止(フリーランスに責任がないのに、定めた報酬を後から減らすこと)。禁止行為は1か月以上の業務委託が対象。仲介事業者の扱い(Q&A)。フリーランス・トラブル110番2024年11月1日施行、令和8年9月改訂版。禁止行為の対象は従業員を使用する発注事業者。対象のフリーランスは従業員を使用しない事業者

よくある質問

業務委託の損害賠償に上限はありますか?

民法の条文に金額の上限の定めは無く、債務不履行の賠償の範囲は第416条(通常生ずべき損害と、予見すべきであった特別の事情による損害)で決まります。編集部の読み方では、上限を付けたいなら契約書の条項に書いておくことになります。上限の有無と基準額、損害の範囲、請求できる期間、故意・重大な過失の扱いの4つを、署名の前に確かめてください。

準委任のPMやPMOでも、損害賠償を求められることはありますか?

求められる可能性はあります。準委任では仕事の完成を約束しない代わりに、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務(民法第644条を第656条で準用)を負います。編集部の見立てでは、PM・PMOの場合は報告や判断の場面で注意を尽くしたかが問われる形が考えられるので、上限の条項に加えて、業務の内容の記載と判断の記録を残しておいてください。

損害賠償の上限を付けてほしいと頼むのは、失礼になりませんか?

上限を置くこと自体は、IPAのモデル契約(企業間のシステム開発のひな形)の第53条にもある形です。故意または重大な過失による場合を除く形で、原因となった個別契約の委託料の額を限度とする一文を加えたい、と理由を添えて頼めば、検討してもらいやすいと編集部は見ています。

上限を付けてもらえなかったら、どうすればいいですか?

損害の範囲を直接かつ現実に生じた通常の損害に限る、請求できる期間を業務の終了確認日から一定の月数に決める、業務の内容を具体的に書く、のどれかで調整を頼み、条項で守れない部分は保険で備えることも考えてください。どれも通らなければ、条件の重さに対して月額が見合うかを考え直し、迷う条項は署名の前に弁護士などの専門家に見てもらってください。

登場人物は架空です。

この記事は、PM・PdM・企画職専門の転職支援「ネコノテキャリア」と業務委託の案件紹介「ネコノテエキスパート」を運営する株式会社スナネコが、実務知見に基づいて制作しています。

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