BizDevに向いている人の特徴|面談で見ている適性と、向いていない環境の見分け方

BizDev(事業開発)に向いている人の特徴を、選考で実際に見られている3点から解説します。熱意で採られた人が折れる場所、0→1と1→10で適性が入れ替わる理由、求人の型の見分け方、自己診断の5問。

この記事でわかること

  • 選考で見られる適性は性格ではなく、事業の数字を自分の裁量で動かした経験があるか
  • 熱意を評価して採る会社ほど、新規事業に権限と予算を配分していないことがある
  • 0→1と1→10で必要な適性は逆。落ちた理由を適性のなさと受け取らない

永瀬

PM・企画職専門の転職エージェント「ネコノテキャリア」の中の人。オブラートに包まない物言いが持ち味で、相場も裏事情も聞かれれば正直に話す。少し口が悪い。

ふたば

SaaS企業の法人営業4年目。社内のBizDev募集に応募するか、事業開発の求人へ転職するかを迷っている。

目次
  1. 適性の話が、性格論になりやすい理由
  2. 選考で適性として見られている3つ
  3. 熱意で採られた人が最初に折れる場所
  4. 0→1と1→10では、向いている人が入れ替わる
  5. 「向いていない」のは、人ではなく求人の型かもしれない
  6. 応募の前に、自分で確かめる5つの質問
  7. 参考データと出典
  8. よくある質問

「BizDevに向いている人」を調べると、熱意、タフさ、幅広い視野といった言葉が並ぶ。読んでも、自分が当てはまるのかは分からないまま終わる。

選考の場で適性として見られているのは、性格ではない。事業の数字を自分の判断で動かした経験があるかどうかだ。そして「向いていなかった」と言われる人の多くは、資質の問題ではなく、入った求人の型が合っていない。

適性の話が、性格論になりやすい理由

ふたば(SaaS企業の法人営業4年目)

社内でBizDevの募集が出ていて、応募しようか迷っています。ただ、向いている人の条件を調べると熱意とかタフさとか書いてあって、自分に当てはまるのか判断がつきません。

永瀬

あの手の記述は、事業が立ち上がったあとに振り返って書かれたものです。うまくいった人が熱かったのは事実でしょうけど、採否は熱意の量では決まっていません。面談で「熱意はありますか」と聞く会社はないので。

ふたば

では何を聞かれるんですか。

永瀬

だいたい、過去にやったことの話だけです。どの事業で、何の数字を持っていて、どこで詰まって、自分は何をどう変えたか。これを事業開発の言葉で語れるかどうかで、ほぼ判定が終わります。

ふたば

熱意やタフさは見ないんですか。

永瀬

見ますが、あとから確認する材料です。それに、タフさは数字にできないので、選考ではだいたい「折れずに最後まで持っていった案件があるか」に置き換えられます。つまりここでも経験の話になる。

ふたば

記事に書いてある適性と、面談で見られていることがずれているということですか。

永瀬

ずれています。性格で語ると耳に入りやすいので、記事はそちらに寄るんです。ただ、読んでいるほうは自分の性格を採点しても応募の判断ができないので、時間だけ使うことになります。

選考で適性として見られている3つ

ふたば

では、何があれば向いていると判断されるんでしょう。

永瀬

3つです。順番に並べると分かりやすい。

見られていること具体的に聞かれる形弱いと判断される答え
数字の当事者性担当した事業のKPIは何で、どこまで自分の裁量だったか「チームで達成しました」だけで、自分の判断が出てこない
社内を動かした経験誰の反対をどう扱ったか、何を譲って何を通したか上司が決めた方針を実行した話に終始する
撤退と方向転換の判断やめた施策、たたんだ案件、判断の根拠と時期成功事例しか出てこない

ふたば

3つめは意外です。失敗した話をしていいんですか。

永瀬

むしろ撤退の話が出てこない人のほうが、事業開発では不安がられます。新規事業は当たらない前提で数を打つので、たたむ判断をした経験がない人は、入社後に判断を先送りするおそれがある。そう見られます。

ふたば

たしかに、面接では成功した話を用意しようとしていました。

永瀬

よくあります。営業の選考ならそれで通りますが、BizDevでは減点になることがある。数字を伸ばした話と、伸びない数字を切った話は、必ず両方用意してください。

ふたば

2つめの「社内を動かした経験」は、社外との提携の経験とは違うんですか。

永瀬

違います。提携の交渉は外の話。BizDevで実際に時間を食うのは、社内です。法務が止める、開発の優先順位が取れない、既存事業の売上を削ることになる部署が反対する。この調整の経験があるかどうかで、入社後の立ち上がりが変わります。

ふたば

社内の調整の経験って、どう話せばいいんでしょう。通した話をすればいいですか。

永瀬

通した結果だけだと弱い。聞かれるのは、何を譲ったかです。開発の工数が取れないなら、初回は手作業で運用して受注数だけ確かめた。既存事業の顧客と重なるなら、対象を絞って売上の食い合いを避けた。この「代わりに捨てたもの」が言える人は、入社後に同じことができると見られます。

ふたば

譲った話はマイナスにならないんですか。

永瀬

なりません。むしろ全部通した話をする人のほうが、社内の力学を分かっていないと判断されます。新規事業は、既存事業の売上を守っている部署から時間と人を借りて動かすものなので。

ふたば

1つめの「数字の当事者性」も、どこまで自分の裁量だったかを正直に言うと弱くなりそうです。

永瀬

弱くなるのは、裁量の範囲を曖昧にしたときです。「売上を伸ばしました」ではなく「価格の決定権はなかったが、初回導入の条件と対象業種の選定は自分が決めた」まで言い切る。範囲が狭くても、境目がはっきりしているほうが評価されます。

熱意で採られた人が最初に折れる場所

ふたば

熱意があれば乗り越えられそうな気もしますが。

永瀬

外に向かうときはそうです。折れるのは社内のほうで、しかも厄介なのは、熱意を評価して採る会社ほど、社内を動かす権限を渡していないことが多い

ふたば

なぜですか。

永瀬

熱意で採るのは、たいてい「やりたい人がいないから任せたい」場合です。既存事業が主力で、新規は一部の人の意欲で回している。そういう会社は、体制も予算も権限も既存事業側に置いたままなので、入った人は毎回お願いに回ることになります。

ふたば

求人票からは分からなそうです。

永瀬

一次面接で聞けます。この3つを聞くと、だいたい見えます。

  • 直近1年で、新規事業のために既存事業側のリソース配分を変えた例があるか
  • 事業をたたむ判断を、誰が、どの数字で下しているか
  • 前任者はどこに異動したか、または退職したか

永瀬

3つめは角が立たない聞き方があります。「このポジションは増員ですか、後任ですか」と聞けばいい。後任で、前任が短期間で抜けている場合は、体制の問題を疑う材料になります。

ふたば

聞いていいものなんでしょうか。

永瀬

聞いてください。答えられない会社は、入ってからも同じように答えが出てこないので。

0→1と1→10では、向いている人が入れ替わる

ふたば

向き不向きって、人ごとに決まっているものではないんですか。

永瀬

事業のフェーズで変わります。同じ人が0→1で高評価、1→10で評価されない、その逆も普通にあります。

フェーズ求められる動き方この型が苦手な人の特徴
0→1(立ち上げ)前例のない状態で仮説を立て、少人数で検証を回す決まった手順がないと動きにくい。合意を取ってから進めたい
1→10(拡大)属人的に売れた形を再現できる仕組みに落とす仕組み化や引き継ぎに関心が向かず、常に新しい打ち手をやりたい
既存事業の改善既存の顧客と売上を壊さずに、改善の合意を作る早さを優先して、既存部署との調整を後回しにする

ふたば

自分がどちらか、どう判断すればいいですか。

永瀬

前職で楽しかった時期を思い出すのがいちばん早いです。ゼロから作った時期か、作ったものを広げた時期か。面談でこれを聞くと、本人の申告と実際に評価された時期が食い違っている人がかなりいます。

ふたば

食い違うと、どうなるんですか。

永瀬

本人は0→1志望なのに、実績は1→10で出ている、という形が多い。この場合、0→1の求人に応募すると選考で落ちやすく、1→10の求人なら通ります。どちらを選ぶかは本人の判断ですが、落ちた理由を適性のなさだと受け取らないでほしいんです。

「向いていない」のは、人ではなく求人の型かもしれない

ふたば

求人の型というのは。

永瀬

BizDevという求人名には中身が3種類あって、必要な適性が違います。型ごとの見分け方は別の記事で詳しく書いているので、ここでは適性との対応だけ。

求人の型中身向いている人の傾向
アライアンス型他社との提携で売上や機能を作る交渉と条件整理が得意。契約や法務の話を嫌がらない
新規事業型事業そのものを作る検証の設計と撤退判断ができる。不確実さに耐えられる
グロース型既存事業のKPIを改善するデータを見て仮説を回す。既存部署との調整を続けられる

永瀬

それと、当社の求人データベースで事業開発・BizDev・事業企画の正社員求人113件を見ると、中身が新規顧客開拓の営業である求人が12件混ざっています。この型に入って「向いていなかった」と言う人がいますが、そもそも別の仕事です。

ふたば

見分け方はありますか。

永瀬

年収レンジの下限が450万円以下の募集は、その可能性が上がります。当社データでは営業寄りの求人の17%、それ以外の求人の7%が下限450万円以下でした。あとは業務内容の動詞です。「提携」「立ち上げ」「KPI改善」ではなく「商談」「新規開拓」が並んでいれば営業です。

応募の前に、自分で確かめる5つの質問

ふたば

自分で判断するには、何を見ればいいですか。

永瀬

次の5つに答えられるかで見てください。答えられない項目が多いなら、応募より先に今の職場で作れる実績があります。

質問答えられる場合答えられない場合
自分が数字の責任を持った事業と、そのKPIを言えるか選考の土俵に乗る担当業務の中でKPIを一つ引き受ける交渉から始める
その数字を動かすために、自分の判断で変えたことを言えるか実績として語れる上司の方針との境目を整理する。自分が決めた部分を書き出す
社内の反対を扱った経験を、譲った点まで含めて言えるか入社後の調整に耐えられると見られる部署をまたぐ小さな案件を1件、自分で回す
やめた施策とその判断根拠を言えるか事業開発の判断ができると見られる撤退基準を決めてから施策を始める練習をする
0→1と1→10のどちらで評価されたかを言えるか求人の型を選べる過去の評価コメントを読み直し、どの時期を褒められたか確認する

ふたば

5つとも答えられないと、今は難しいということですか。

永瀬

今の職場で作れます。むしろ外に出るより早い。今の会社なら事業も人も分かっているので、KPIを一つ引き受ける交渉は通りやすい。それをやってから応募したほうが、選考の通過率も入社後の立ち上がりも変わります。

ふたば

営業からの転職でも間に合いますか。

永瀬

法人営業からBizDevは王道ルートです。ただ、受注実績の話だけでは通りません。受注の話ではなく、売り方や商品の条件を自分で変えて数字が動いた話を用意してください。それが事業開発の言葉になります。

参考データと出典

適性そのものを測る公開統計はありません。以下は、求人の型と年収水準の判断材料です。

データ数字時点・条件
ネコノテキャリア求人データベース事業開発・BizDev・事業企画の正社員求人113件。うち中身が新規開拓・商談中心の営業寄り求人は12件。提示年収の下限中央値600万円、上限中央値1,000万円。下限450万円以下の比率は営業寄り17%、それ以外7%2026年8月時点、新着順に抽出。提示レンジの中央値で内定時の実額ではない。企業名・個別求人は出さない
doda 平均年収ランキング(2025年)経営企画/事業企画 703万円2024年9月〜2025年8月にdodaへ登録した正社員約60万件の平均。BizDev単体の区分はない

求人の3つの型と選考で評価される経験はBizDev転職の進め方、階層別の年収レンジはBizDevの年収相場で整理しています。

よくある質問

BizDevに向いている人の特徴は何ですか?

性格よりも経験で判断されます。担当した事業のKPIを自分の裁量で動かした経験、社内の反対を調整した経験、施策をたたむ判断をした経験の3つがそろっている人が、選考で適性ありと見られます。

熱意やタフさは選考で評価されませんか?

評価はされますが、決め手にはなりません。タフさは「折れずに最後まで持っていった案件があるか」に置き換えて確認されるため、結局は経験の話になります。熱意を評価して採る会社は、新規事業に権限や予算を配分していない場合があるので、体制を先に確認してください。

営業からBizDevに向いているか判断できますか?

受注実績ではなく、売り方や商品条件を自分で変えて数字が動いた経験があるかで判断します。法人営業からBizDevは王道ルートですが、受注額の話だけでは選考で評価されません。

向いていないと感じるとき、職種を変えるべきですか?

先に求人の型を確認してください。BizDev求人には提携中心、新規事業、既存事業のKPI改善、さらに中身が新規開拓営業のものが混在し、必要な適性が違います。当社の求人113件では営業寄りの求人が12件ありました。合わないのが仕事そのものか、入った型かを切り分けてから決めてください。

0→1と1→10のどちらが向いているかは、どう確かめますか?

過去に評価された時期がどちらかで判断します。本人の志望と実績が食い違っている場合、志望フェーズの求人では選考が通りにくくなります。前職の評価コメントを読み直し、ゼロから作った時期と広げた時期のどちらを褒められたかを確認してください。

この記事は、PM・PdM・企画職専門の転職支援「ネコノテキャリア」と副業・業務委託の案件紹介「ネコノテエキスパート」を運営する株式会社スナネコが、実務知見に基づいて制作しています。

← 記事一覧へ戻る

Contact

お問い合わせ

各サービスに関するお問い合わせは、該当サービスページよりお願いいたします。