BizDev(事業開発)の転職完全ガイド|仕事の3類型・年収・評価される経験
BizDev(事業開発)への転職を、仕事の3類型(アライアンス・新規事業・グロース)の見分け方から整理します。求人票の読み方、出身職種別の入り方、年収レンジ、選考対策を対話形式で解説します。
この記事でわかること
- 「BizDev」求人の中身はアライアンス型・新規事業型・グロース型の3種類。動詞で見分ける
- 評価されるのは職種名ではなく「事業の数字を自分の打ち手で動かした経験」
- 職種名を変える前に今の職場で仕事の中身をBizDevに変えておく。転職はその答え合わせ
永瀬
PM・企画職専門の転職エージェント「ネコノテキャリア」の中の人。オブラートに包まない物言いが持ち味で、相場も裏事情も聞かれれば正直に話す。少し口が悪い。
ふたば
SaaS企業で働く営業企画4年目。BizDevへの転職に興味があるが、求人ごとに仕事内容がバラバラで、何が評価されるのかわからない。
目次
ふたば(営業企画4年目)
永瀬さん、SaaS企業で営業企画を4年やっています。BizDevに興味があるんですが、求人を見ても会社ごとに仕事内容がバラバラで。そもそもBizDevって、何をする職種なんですか?
永瀬(PM専門エージェント)
その混乱は正しいです。「BizDev」という求人は、中身が3種類あります。ここを見分けずに応募すると、入社してから「思っていた仕事と違う」になる。今日はまず3種類の見分け方から始めましょう。
BizDev(事業開発)の仕事は3種類ある
ふたば
3種類、というと?
永瀬
アライアンス型、新規事業型、グロース型です。同じBizDev・事業開発の名前で募集されますが、日々やることも評価される経験も別物です。
| 型 | 主な仕事 | 評価される経験 |
|---|---|---|
| アライアンス型 | 他社との提携交渉、協業スキームの設計、契約推進 | 法人営業・交渉・契約まわりの実績 |
| 新規事業型 | 0→1の事業立ち上げ、検証、撤退判断 | 企画から実行まで一人で回した経験 |
| グロース型 | 既存事業のKPI改善、販路拡大、オペレーション構築 | 数字を持って改善を積んだ経験 |
永瀬
自分がどの型に向いているかは、これまでの実績がどの列に一番貼れるかで決まります。営業企画4年なら、数字の実績はグロース型に、代理店やパートナー施策の経験があればアライアンス型に貼れるはずです。
求人票で3つの型を見分ける
ふたば
求人票からは、どうやって型を見分けるんですか?
永瀬
業務内容の動詞を見ます。「提携」「交渉」「協業」が並んでいればアライアンス型。「立ち上げ」「検証」「0→1」なら新規事業型。「KPI」「改善」「拡大」ならグロース型です。職種名より動詞の方が正直です。
それと、これは業界の内側の話ですが、「BizDev募集」の一部は、中身が新規顧客開拓の営業です。見分け方は簡単で、業務内容に「アポ」「商談件数」「新規開拓」のような営業KPIの言葉が入っていたら、それはBizDevの皮をかぶった営業求人です。営業が悪いのではなく、期待とのズレが問題なので、そこだけ見抜いてください。
選考で評価される経験
ふたば
選考では、何を評価されるんでしょう。私は営業企画なので、事業開発の経験そのものはありません。
永瀬
BizDevの選考で見られるのは「事業の数字を自分の打ち手で動かした経験」です。職種名は問われません。営業企画なら、施策を企画して、現場を巻き込んで、数字がどう変わったか。この3点セットで語れる実績があれば、隣接職種からの転職として十分戦えます。
逆に弱いのは「分析しました」「資料を作りました」で止まる実績です。BizDevは実行の職種なので、「考えた」で終わる実績は評価されず、「動かした」まで言えて初めて土俵に乗ります。
ふたば
巻き込んだ相手や数字まで、具体的に言える実績を選ぶんですね。
永瀬
そうです。あとは型ごとの補強で、アライアンス型を狙うなら社外との交渉経験、新規事業型なら小さくても「自分で立ち上げた」経験、グロース型なら改善サイクルを回した回数。応募する型に合わせて、職務経歴書の並べ順を変えてください。全部を均等に書くのが一番弱いです。
出身職種別の入り方
ふたば
私は営業企画ですが、ほかの職種からだと、どう入るのが定石なんですか?
永瀬
BizDevへの入り口は、出身職種ごとにほぼ決まっています。
| 出身職種 | 相性のいい型 | 持ち込むべき実績 |
|---|---|---|
| 営業・営業企画 | アライアンス型・グロース型 | 数字を動かした施策、パートナー巻き込みの経験 |
| コンサル | 新規事業型・グロース型 | 提案で終わらず実行・定着まで見た案件 |
| PM・PMO・事業企画 | 新規事業型 | 関係者を束ねて前に進めた推進実績 |
永瀬
注意点はひとつで、どの職種から入るにしても「前職の代表実績をそのまま出す」のは悪手です。BizDevの面接官が知りたいのは前職での偉さではなく、事業を動かす再現性なので、応募する型の言葉に翻訳してから出してください。コンサル出身なら「分析力」ではなく「実行までやり切った案件」を前に出す、という話です。
年収レンジと会社選び
ふたば
年収は、どのくらいを見込めますか?
永瀬
求人を見ていると、メンバークラスで600万前後から、リーダー〜マネージャーで800万〜1,000万超まで幅があります。事業フェーズによっても変わって、スタートアップは現金の年収を抑えてストックオプションを載せる構成が多い。大手の新規事業部門は年収テーブルが安定している分、上限も決まっています。
ここでも「年収額だけで選ばない」が鉄則です。スタートアップのBizDevは裁量と引き換えに事業ごと消えるリスクがある。大手は安定と引き換えに、承認プロセスの中で動くことになる。どちらが良いかではなく、どちらを引き受けるかの話です。
選考の実際と志望動機
ふたば
面接では、どんなことを聞かれますか?
永瀬
実績の深掘りに加えて、「うちの事業をどう伸ばすか」を聞く会社が多いです。ケース面接と呼ぶほど形式張っていなくても、事業理解の解像度は必ず見られます。応募先のプロダクトを触って、収益構造を自分なりに説明できる状態で面接に行ってください。
志望動機も、BizDevでは「なぜこの職種か」より「なぜこの事業か」です。事業の伸びしろを自分の言葉で語れない志望動機は、どれだけ実績があっても刺さりません。
BizDevの先にあるキャリア
ふたば
BizDevになった後は、どんなキャリアにつながるんですか?
永瀬
ここがBizDevの一番おいしいところです。事業を丸ごと見る職種なので、次の選択肢が広い。王道は事業責任者への昇格で、立ち上げた事業をそのまま任されるパターン。ほかにPdM(プロダクト側へ)、経営企画(全社側へ)、そして独立や業務委託です。
言い換えると、BizDevは「潰しがきく」職種です。転職市場でも、事業を動かした経験は職種を超えて通用します。だから20代後半から30代でBizDevを経由するキャリア設計は、リスクを取っているようでいて、実は選択肢を増やす動きなんです。
ふたば
入るまでの壁は高そうですが、入った後の広がりは大きいんですね。
永瀬
壁の正体も、結局は「事業の数字を動かした経験があるか」の一点です。今日から仕込めば越えられる壁ですよ。
転職前に今の職場でできる仕込み
ふたば
すぐ転職と決められない場合、営業企画のままできる準備はありますか?
永瀬
あります。BizDevに一番近い実績は、今の職種のまま作れます。パートナー企業との共同施策を自分から提案する、新しい販路のテストを小さく回す、施策の結果を数字でレポートする習慣をつける。どれも営業企画の職域の延長です。
半年これをやってから動けば、「営業企画からBizDevへ」ではなく「すでにBizDevの仕事をしている人」として選考に出られます。職種名を変える前に、仕事の中身を変えておく。転職はその答え合わせです。
ふたば
職種名より先に、中身をBizDevにしておくんですね。今の仕事の見方が変わりました。
よくある質問
BizDevと事業開発は同じ職種ですか?
同じです。求人ではスタートアップ・外資系が「BizDev」、日系企業が「事業開発」と表記する傾向があります。ただしどちらの表記でも、中身はアライアンス型・新規事業型・グロース型の3種類に分かれるため、職種名より業務内容で判断してください。
営業からBizDevに転職できますか?
できます。特に法人営業・営業企画からは王道ルートです。評価されるのは「事業の数字を自分の打ち手で動かした経験」なので、単なる受注実績ではなく、施策の企画と巻き込みまで語れる実績を用意してください。
BizDevの年収はどのくらいですか?
求人ベースでは、メンバークラスで600万円前後から、リーダー〜マネージャーで800万〜1,000万円超まで幅があります。スタートアップはストックオプションを含めた設計が多く、現金年収だけでは比較できません。
BizDevに資格やMBAは必要ですか?
不要です。選考で見られるのは実績と事業理解の解像度で、資格が決め手になることはほぼありません。学習に時間を使うなら、今の職場で小さく事業を動かす実績づくりに使う方が効きます。
どんな会社のBizDev求人が狙い目ですか?
業務内容の動詞が具体的な求人です。「提携」「立ち上げ」「KPI改善」など、やることが明確に書かれている求人は組織側の期待も明確です。逆に業務範囲が曖昧な募集や、営業KPIだけが書かれた募集は入社後のギャップが大きくなりがちです。
この記事は、PM・PdM・企画職専門の転職支援「ネコノテキャリア」と副業・業務委託の案件紹介「ネコノテエキスパート」を運営する株式会社スナネコが、実務知見に基づいて制作しています。