業務企画とは?仕事内容と事業企画・経営企画との違いを解説

業務企画とは何をする仕事かを、事業企画・経営企画との違いから整理します。1年の仕事の中身、求人票での別名、評価される人の条件、社外で通用する経歴の残し方まで対話形式で解説します。

この記事でわかること

  • 業務企画が扱うのは市場や売上ではなく、社内で毎日繰り返されている業務の手順そのもの
  • 求人票では業務改革・BPR推進・オペレーション企画・IT企画・DX推進・PMOという別名で募集される
  • 社外に持ち出せるのは導入した仕組みの名前ではなく、動かした数字と説得した相手の役職

永瀬

PM・企画職専門の転職エージェント「ネコノテキャリア」の中の人。オブラートに包まない物言いが持ち味で、相場も裏事情も聞かれれば正直に話す。少し口が悪い。

ふたば

メーカーの営業企画5年目。組織再編で新設される業務企画部への異動を打診されたが、仕事の中身も、その先のキャリアも分からないまま返事を迫られている。

目次
  1. 業務企画とは、会社の手順を作り直して定着させる仕事
  2. 業務企画の1年は、何で埋まるのか
  3. 業務企画の求人は、別の名前で出ている
  4. 業務企画で評価される人と、されない人
  5. 業務企画に向いている人と、つらくなる人
  6. 業務企画の経験は、社外で通用するのか
  7. よくある質問

ふたば(メーカーの営業企画5年目)

永瀬さん、組織再編で新しくできる業務企画部に異動しないかと言われました。ただ、業務企画とは何をする部署なのかが分かりません。調べても事業企画や経営企画の説明ばかり出てきて、業務企画そのものの説明がほとんど見つからないんです。

永瀬(PM・企画職専門エージェント)

出てこないのは当然で、業務企画は職種というより、会社ごとに中身が決まる社内の役割名です。ただ、やっていることの芯は会社が違ってもほぼ同じです。

ふたば

その芯というのは。

永瀬

会社の中で毎日繰り返されている手順を、作り直して定着させることです。何を売るかではなく、どう回すかのほうを担当します。

業務企画とは、会社の手順を作り直して定着させる仕事

永瀬

受注から出荷までの流れ、見積の承認の仕方、月末の締めの手順。どの会社にも、誰かが昔決めてそのまま続いている手順があります。業務企画は、その手順を測って、組み替えて、現場に定着するところまでを担当します。

業務企画の対象は市場ではなく、社内で毎日繰り返されている作業のほうです。だから成果も、売上ではなく、かかっている時間や間違いの件数で測られます。

ふたば

事業企画や経営企画とは、どこが違うんでしょうか。名前が似ていて区別がつきません。

永瀬

上下関係ではなく、扱う対象が違います。3つ並べると分かりやすい。

経営企画事業企画業務企画
扱う対象全社の方針と資源配分担当事業の売上と収益現場で繰り返される業務の手順
時間軸3年から中期計画年度から四半期四半期から日次
主な相手役員、投資家、グループ会社事業部長、営業、開発現場の担当者、情シス、ベンダー
成果の測り方計画の達成、投資判断売上、利益、シェア工数、リードタイム、ミスの件数、コスト

ふたば

こうして見ると、業務企画がいちばん地味に見えます。

永瀬

地味です。ただ、経営企画が中期計画に「業務効率化により営業利益を改善」と書いたとき、それを実際に成立させるのは業務企画です。計画に一行で書かれたことを、300人の手順の変更に翻訳する係だと思ってください。

業務企画の1年は、何で埋まるのか

ふたば

企画という名前がついているので、資料を作って提案する仕事が中心なのかと想像していました。

永瀬

提案に使う時間は、全体の1割か2割です。残りは調整と定着に消えます。1本のテーマを最後まで通すと、だいたいこういう並びになります。

  • 現場に張りついて、実際の手順と例外処理を洗い出す
  • 時間・件数・コストを数える。数えないまま改善案を出すと、あとで効果を説明できなくなる
  • 手順の案を作り、影響を受ける部署と1つずつ合意する
  • システムが絡むなら、情シスやベンダーと要件を詰める
  • 切り替えの計画を立て、マニュアルと説明会を用意する
  • 切り替え後、元のやり方に戻っていないかを数か月見る

ふたば

最後の項目が気になります。戻ることがあるんですか。

永瀬

戻ります。新しい手順を配って説明会まで開いても、3か月後に見に行くと、半分の人が前のやり方に戻っている。現場からすれば、慣れた手順のほうが速いので当然です。

業務企画の仕事の質は、案を出すところではなく、戻っていないかを見に行くところで決まります。ここを省く人が多いから、改善したはずの業務が翌年も改善テーマとして上がってきます。

ふたば

思っていたより、現場に足を運ぶ仕事なんですね。

永瀬

会議室で業務フロー図を書いているだけの業務企画は、まず失敗します。図に描かれた手順と、現場が実際にやっている手順は違うので。この差を知っているかどうかが、経験者と未経験者の一番の分かれ目です。

業務企画の求人は、別の名前で出ている

ふたば

先の話になりますが、この経験を持って転職しようとしたとき、業務企画の求人は多いんでしょうか。検索してもあまり出てきません。

永瀬

出ないのは、求人が少ないからではありません。業務企画は社内の呼び名なので、求人票では別の名前で募集されています。同じ仕事が、この5つあたりに分かれて載っています。

求人票での呼び名実際の中身
業務改革、BPR推進部門をまたぐ手順の作り直し。業務企画とほぼ同義
オペレーション企画、業務推進受注・物流・カスタマーサポートなど特定業務の設計と改善
IT企画、システム企画業務側の要件を決めてシステムに落とす。情シス寄りの配置
DX推進会社によって幅が大きい。ツール導入の推進役から業務改革まで
PMO複数部署にまたがる改革プロジェクトの進行管理を切り出した形

ふたば

名前が違うだけで、同じ経験が使えるということですか。

永瀬

使えます。ただし応募する側が読み替えないと、検索の時点で候補から外してしまう。業務企画の経験者が転職で損をするのは、能力ではなくこの読み替えができていないことのほうが多いです。

DX推進だけは注意が要ります。同じ名前で、ツールの導入本数を追うだけの部署から、業務そのものを設計し直す部署まで幅があるので、面接で「その部署が去年やった案件を1つ教えてください」と聞いてください。答えの中身で判別できます。

業務企画で評価される人と、されない人

ふたば

異動したとして、何ができれば成果になるんでしょうか。新しい仕組みをたくさん入れることでしょうか。

永瀬

そこは、期待を裏切る話になります。業務企画で本当に効くのは、増やした仕組みの数ではなく、やめさせた作業の数です

新しいツールや新しい承認フローを足すのは、比較的簡単です。誰も反対しないので。難しいのは、20年続いている確認作業を「もうやめます」と決めて、反対する人を説得することです。工数が減るのは、やめたときだけです。

ふたば

やめると言った瞬間に、何かあったらどうするんだと言われそうです。

永瀬

必ず言われます。そこで引き下がるかどうかで、この職種の適性が出ます。返し方は決まっていて、その確認で過去に何件の誤りを見つけたかを数えて持っていくことです。3年間で1件も見つかっていない確認作業は、リスク対策ではなく習慣です。

数えずに「無駄だと思います」と言うと負けます。数えて出すと、反対していた人が自分から降りてくれることがあります。

ふたば

逆に、うまくいかない人はどういうタイプですか。

永瀬

両極に振れた人です。片方は、現場のやり方を軽く見て正論だけで押す人。反発されて何も通りません。もう片方は、現場に嫌われたくなくて全部の要望を受け入れる人。こちらは例外処理が増えて、前より複雑な手順になります。

きつい言い方をすると、後者のほうが厄介です。本人は現場思いのつもりで、成果はマイナスなので。

業務企画に向いている人と、つらくなる人

ふたば

自分に向いているかどうかも分かりません。営業企画からの異動なので、感覚が違いすぎないか不安です。

永瀬

営業企画からの異動は、相性がいいほうです。売上の数字を毎月追っていた人は、業務を数える作業に抵抗がありません。逆に、数字を触ってこなかった人がこの部署に来ると、最初の壁がそこになります。

適性で分かれるのは、もっと手前の部分です。他部署の人に何度断られても、また話しに行けるかどうか。

ふたば

断られる前提なんですね。

永瀬

手順を変えるということは、相手の仕事のやり方に口を出すということです。歓迎されるほうが珍しい。1回目は断られて、2回目に条件を変えて持っていって、3回目にやっと試してもらえる。この往復を面倒だと感じない人が続きます。

それと、この職種にはもう1つ構造的なつらさがあります。うまくいくほど、成果は現場の手柄になります。手順が定着して数字が改善すると、それは業務部門の実績として報告されます。業務企画の名前は、途中の資料にしか残りません。

ふたば

それは、けっこうこたえそうです。

永瀬

感謝されるのは切り替えの直後だけで、3か月もすれば新しい手順が当たり前になります。誰にも褒められないまま、次のテーマに移る。それが平気な人でないと続きません。

ただ、割り切り方はあります。手柄は現場に渡して、数字だけ自分の手元に残しておく。社内での評価と、社外に持ち出せる経歴は別物なので。

業務企画の経験は、社外で通用するのか

ふたば

いちばん不安なのはそこです。社内の事情に詳しくなるだけで、外に出たときに何も残らないんじゃないかと。

永瀬

その不安は当たっている面があります。業務企画の実績は、放っておくと社内語で書かれた話になります。「基幹システムの刷新に伴い、営業部門の運用ルールを整備」とだけ書かれた経歴は、他社の面接官には何も伝わりません。

通用するかどうかを分けるのは、数字で語れるかどうかです。何人が、月に何時間使っていた作業を、いくつ減らしたのか。社外に持ち出せるのは仕組みの名前ではなく、動かした数字と、説得した相手の役職です

ふたば

だとすると、異動した初日から数えておかないと間に合わないですね。

永瀬

そのとおりです。改善後に効果を測ろうとしても、前の状態を測っていなければ差が出せません。着手前に数える。これは職務経歴書のためだけでなく、社内で予算を取るときにも同じものが要ります。

その条件さえ満たしていれば、行き先は広いです。事業側に寄れば事業企画、システム側に寄れば情シスへの転職やIT企画、プロジェクトの推進役として整理し直せばPMOのキャリアパスに乗ります。どれも、部門をまたいで人を動かした経験が土台になる職種です。

ふたば

異動の返事をする前に、聞いておくことはありますか。

永瀬

2つあります。1つは、その部署が誰の下にぶら下がるか。役員直下なら決裁が早く、いち部門の下に置かれるなら他部署の手順には手を出せません。もう1つは、最初のテーマが決まっているかどうかです。

テーマが決まっていない業務企画部は、半年ほど資料を作って終わることがあります。逆に「受注処理の締めを3日短くする」のように的が決まっていれば、1年後には数字の入った経歴が1本できます。同じ異動でも、その差で3年後の市場価値が変わります。

ふたば

何をする部署か分からないまま返事をするところでした。聞いてから決めます。

よくある質問

業務企画とはどんな仕事ですか?

会社の中で毎日繰り返されている業務の手順を測り、組み替え、現場に定着させるまでを担当する仕事です。受注から出荷までの流れ、見積の承認、月次の締めといった社内の作業が対象で、成果は売上ではなく工数・リードタイム・ミスの件数・コストで測られます。提案資料を作る時間は全体の1割から2割程度で、大半は関係部署との調整と、切り替え後に元のやり方へ戻っていないかの確認に使われます。

業務企画と事業企画・経営企画は何が違いますか?

役割の上下ではなく、扱う対象が違います。経営企画は全社の方針と資源配分、事業企画は担当事業の売上と収益、業務企画は現場で繰り返される業務の手順を扱います。時間軸も、経営企画が中期計画、事業企画が年度や四半期であるのに対し、業務企画は四半期から日次です。経営企画が計画に一行で書いた効率化を、現場の手順の変更に翻訳するのが業務企画の位置づけです。

業務企画に必要なスキルは何ですか?

業務を数える力と、関係部署を説得する力の2つです。現状の作業時間や件数を測っていなければ、改善案の効果も社内の予算取りの根拠も示せません。そのうえで、長年続いている作業をやめる判断に反対する人へ、過去に何件の誤りを見つけたかといった事実で説明できることが求められます。業務フロー図を描く技術よりも、図と現場の実態の差を把握できるかどうかが評価を分けます。

業務企画の経験は転職で評価されますか?

数字で語れる形になっていれば評価されます。「運用ルールを整備」といった社内語のままでは他社の面接官に伝わらないため、何人が月に何時間使っていた作業をどれだけ減らしたか、どの役職の相手を説得したかを示せる状態にしておく必要があります。改善後に測ろうとしても前の状態が分からないため、着手前の数値を記録しておくことが実質的な条件です。

業務企画の求人はどう探せばいいですか?

「業務企画」という語だけで探すと候補が出てきません。社内の呼び名であるため、求人票では業務改革・BPR推進・オペレーション企画・IT企画・DX推進・PMOといった名前で募集されています。読み替えて探すのが前提です。ただしDX推進はツール導入の推進役から業務設計まで幅があるため、面接でその部署が直近に手がけた案件を1つ聞き、中身を確認してください。

この記事は、PM・PdM・企画職専門の転職支援「ネコノテキャリア」と副業・業務委託の案件紹介「ネコノテエキスパート」を運営する株式会社スナネコが、実務知見に基づいて制作しています。

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